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【最新版】太陽光パネルはリサイクルすべき?新たな制度概要も解説

2025.02.24

太陽光パネル リサイクル

自宅の屋根の改修を予定していて、太陽光発電も撤去しようと考えている方はいませんか?

 

また、太陽光パネルを撤去する時に、環境に配慮してリサイクルをするべきなのか?そもそもリサイクルできるのか?わからない方も多いのではないでしょうか。

 

✅本記事の内容

  • 太陽光パネルはリサイクルできる?
  • 太陽光パネルのリサイクルの技術
  • 太陽光パネルのリサイクルの課題
  • 太陽光パネルのリサイクル制度の最新情報
  • 太陽光パネルのリサイクル費用
  • 太陽光パネルはリサイクルして環境にやさしく

 

✅本記事の信頼性

・現役の某太陽電池メーカーの営業マン「スポンジ」が監修(営業キャリア10年以上)

・営業実績は、住宅用太陽光発電を200棟/月を販売継続(3年以上)

 

屋根の改修でまとまった金額が必要になるのに、太陽光パネルの撤去でもまとまった金額がかかる場合は困ってしまいますよね。

 

この記事を見てもらえれば、太陽光パネルのリサイクルの技術や相場費用、最新情報が理解できるようになります。

 

太陽光パネルはリサイクルできる?

太陽光パネルはリサイクルできる?

まず、そもそも太陽光パネルはリサイクルができるのかを見ていきましょう。

 

結論としては、太陽光パネルはリサイクルが可能です。

 

むしろ、問題視されているのは2040年頃に太陽光パネルの大量廃棄をどう乗り切れるかどうかになります。

 

2012年に導入されたFIT制度(固定価格買取制度)をきっかけに、普及率が大きく上がりました。

 

太陽光パネルの寿命は25~30年です。

 

そのため2040年頃に太陽光パネルの廃棄量はピークを迎えるといわれており、約17~28万トン/年にのぼると予測されています。

 

最終処分場の全体の廃棄量の6%程度を占める可能性もあり、最終処分場のひっ迫も懸念されている状況です。

 

つまり、廃棄ではなくリサイクルをしていかなければいけない状況になっているということです。

 

太陽光パネルの高度なリサイクルフロー

引用:経済産業省HPより

 

太陽光パネルはアルミフレームやガラス、ジャンクションボックス、セル、EVAシートなどで構成されています。

 

それぞれを分離後、リサイクルすることが可能です。

 

希少な金属やリサイクル可能なものも多く、産業廃棄物として廃棄するのはモッタイナイです。

 

太陽光パネルを撤去する時はリサイクルを行い、資源を再利用・有効活用しなければいけません。

 

太陽光パネルのリサイクルの技術

太陽光パネルのリサイクルの技術

つぎに、太陽光パネルのリサイクル技術について解説します。

 

  • ホットナイフ分離法
  • ブラスト工法
  • 加熱・燃焼処理

 

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

 

1.ホットナイフ分離法

 

約300℃に加熱したナイフでEVAシートを溶融し、ガラスを割らずにその他の部材と分離する技術です。

 

ガラスは板状で回収されます。

 

ガラスは金属が混ざるとリサイクルが難しくなりますが、ホットナイフ分離法では分離したガラスに金属が混ざらないため、効率の良いリサイクルが可能です。

 

2.ブラスト工法

 

粒状の投射材料を圧縮エアー又はモーター駆動によってカバーガラス表面に噴きつけ、カバーガラスを剥離する技術です。

 

剥離したカバーガラスはふるい装置で自動的に分別され、粒状で回収されます。

 

ブラスト工法では、変形してしまった太陽光パネルも処理が可能です。

 

3.加熱・燃焼処理

 

窒素雰囲気の分解炉でEVAを熱分解し、その後に発生したEVA分解ガスを、大気雰囲気の燃焼炉でLPGバーナーによって焼却する2段階処理を行う技術です。

 

EVAはすべてガスになりガラスの表面には何も残らないため、品位99%のガラスが取り出せます。

 

ガラスから熱分解でEVAが気化して除去されると、一方でシリコンや銀、銅が残ります。

 

シリコン・銀・銅をふるいにかけて分別し、再利用することも可能です。

 

太陽光パネルのリサイクルの課題

太陽光パネルのリサイクルの課題

つぎに、太陽光パネルのリサイクルの課題を見ていきましょう。

 

太陽光パネルのリサイクルには3つの課題があります。

  • 3Rの実現
  • 依頼先が分からない
  • 有害物質に対する情報提供

 

それぞれ詳しく解説していきます。

 

1.3Rの実現

 

1つ目の課題は、3R(リデュース・リユース・リサイクル)を実現することです。

 

まずは、太陽光パネル廃棄の機会を少なくするため、太陽光発電を長期的に稼働するよう促進することが必要です。(リデュース)

 

太陽光発電には、電気代の節約や災害時の停電対策など多くのメリットがあります。

 

買取期間終了後すぐに廃棄にならないよう、正しいメンテナンスを行うことも寿命を延ばす上でも重要です。

 

つぎに、撤去時にはリユース・リサイクルを優先させる必要があります。

 

現在、太陽光パネルのリユース・リサイクルは義務とされていないため、コストの安い埋立処分されていることが多いのが実情です。

 

産業廃棄物の最終処分場の残存年数は全国で 17.4 年とひっ迫が懸念されるため、埋め立て処分ではなくリユース・リサイクルされるようなしくみ作りが必要となります。

太陽光パネルのリサイクルの課題 3Rの実現

太陽光パネルの撤去を行う場合は、リデュース→リユース→リサイクルの優先順位で行わなければいけません。

 

後ほど詳しく解説しますが、現在太陽光パネルのリサイクルの義務化が進められています。

 

2.依頼先が分からない

 

2つ目の課題は、依頼先が分からないことです。

 

太陽光パネルをリサイクルすることは可能ですが、実際にリサイクルするにはどこに依頼すればいいのか分からないですよね。

 

JPEAでは、HPで太陽光パネルを適切に撤去・リサイクルできる業者の一覧を公開しています。

 

使⽤済住宅⽤太陽電池モジュールの取外しおよび適正処理が可能な太陽光発電システム施⼯業者⼀覧表

 

適正処理(リサイクル)の可能な産業廃棄物中間処理業者名 一覧表

 

もしくは、購入した販売店を通じてや太陽電池メーカーにリサイクル業者を紹介してもらうことも可能です。

 

全国各地に太陽光パネルを適切に撤去・リサイクル可能な業者が存在するので、リサイクルを検討する方はお住まいの近くの業者に連絡してみてください。

 

3.有害物質に対する情報提供

 

3つ目の課題は、有害物質に対する情報提供です。

 

化合物系の太陽光パネルには有害物質である鉛・カドミウム・ヒ素・セレンなどが含まれることがあります。

 

リサイクルの際にはどの物質がどのくらい含まれているかなどの情報が必要になります。

太陽光パネルのリサイクルの課題 有害物質に対する情報提供

正しい情報がないとリサイクルを受け入れてもらえない・誤った処理が行われてしまうのです。

 

有害物質は不適切な方法で処理されてしまうと、環境汚染や健康被害などの原因になります。

 

JPEAはこういった事態を避けるため、含有情報提供のガイドラインを策定しました。

 

このガイドラインに呼応したメーカーなどが、有害物質の含有情報を自主的に公表しています。

 

今後はこの有害物質の含有情報をデータベース化し、発電事業者・排出事業者等が確認できるよう取り組まれています。

 

太陽光パネルのリサイクル制度の最新情報

太陽光パネルのリサイクル制度の最新情報

つぎに、太陽区パネルのリサイクル制度について見ていきましょう。

 

1.太陽光パネルの再資源化の義務化

 

太陽光発電設備のリサイクル制度について、経済産業省と環境省でこれまで8回の合同会議が開催されました。

 

JPEAの適正処理リサイクル研究会として、ハンファジャパン・パナソニック・シャープ・京セラ・ソーラーフロンティア・カネカの6社のメーカーが法案意見策定に参画しております。

 

「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について(案)」には、太陽光パネルの再資源化を義務化することが明記されており、2025/1/17までパブリックコメントを募集しておりました。

 

最終とりまとめ後に法案が作成され、閣議・国会を通過すれば新たなリサイクル法が公布、2~3年の準備期間を経て施行される予定です。

 

この制度では下記の場合は対象外とされています。

 

  • 太陽光パネル以外の部材
  • 地理的要因による場合、災害等により一般廃棄物として扱われる場合等、やむを得ない事由により技術的・経済的に制約が生じ再資源化を行うことが難しい場合

 

現在は埋立処分されていることが多い太陽光パネルですが、法施行後はリサイクルが求められるようになります。

 

2.解体等費用と再資源化費用の徴収

 

太陽光パネルのリサイクルが義務化されると、費用はどのように工面されるのでしょうか。

 

費用については、「解体等費用」「再資源化費用」の2つに区分され、それぞれ徴収・払い出しされるようになります。

 

・解体等費用

 

解体等費用は、設備所有者が第三者機関に預託し、太陽光発電設備の解体等を実施する際に、設備所有者が取戻をします。

 

イメージとしては、下記の図の通りです。

解体等費用

発電業者は解体等費用を預託することになりますが、発電事業を開始するタイミングが法施行前と後で影響が異なるため、確認が必要です。

 

・再資源化費用

 

再資源化費用は、製造業者・輸入業者が太陽光パネルを市場に出す際に第三者機関に納付し、リサイクル後に設備所有者に交付されます。

 

イメージとしては、下記の図の通りです。

再資源化費用

交付額は再資源化に要した実際の金額ではなく、所定の要件を踏まえて算定された一定額となります。

 

太陽電池メーカーに課される費用でもあるため、太陽電池価格が上がる可能性も考えられます。

 

太陽光パネルのリサイクル費用

太陽光パネルのリサイクル費用

最後に、太陽光パネルのリサイクル費用を見ていきましょう。

 

リサイクル費用は太陽光パネルの種類にもよりますが、1枚当たり3,000円~5,000円が相場です。

 

太陽光パネルを屋根から撤去するための、足場代・撤去作業費も必要になります。

 

足場代は15万円程度、撤去作業費は6万円/kWが相場です。

 

400W×10枚=4kWの太陽光パネルを屋根に設置していた場合、44万円程度かかるということです。

 

さらに、リサイクル業者にパネルを引き取ってもらう場合は送料もかかりますが、ご自身でリサイクル業者に持ち込むことで、送料は負担せずに済みます。

 

太陽光パネルはリサイクルして環境にやさしく

本記事では太陽光パネルのリサイクルについて、最新情報とあわせて詳しく解説しました。

 

現状は埋立処分されることが多い太陽光パネルですが、リサイクルには課題があることも事実です。

 

  • 3Rの実現
  • 依頼先が分からない
  • 有害物質に対する情報提供

 

ただ、現在太陽光パネルのリサイクル義務化に向けて、ガイドラインの策定や制度施行が進められています。

 

2027年頃からは太陽光パネルのリサイクル義務化制度が施行される予定です。

 

今からやるべきことは、できる限り太陽光発電を長く使い続けて、リサイクルでかかる費用を積み立てしておくことになります。

 

太陽電池を少しでも長く使用できるように定期点検をすること、パワーコンディショナを15年~20年で交換をすれば太陽光発電は30年~40年もの間で使い続けることが可能です。

 

太陽光発電の経済的なメリットや災害対策としての予備電源として最大限活用をしてから、リサイクルを考えることがオススメです。

 

太陽光発電は環境にやさしい電気を作るシステムですので、撤去する時もリサイクルを行い、環境に配慮するようにしましょう。

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