COLUMN

ラム

太陽光発電

【2025年最新版】ペロブスカイト太陽光電池のメリットと課題

2025.06.21

ペロブスカイト 太陽光発電

ペロブスカイト太陽電池の普及に向けて、政府や各企業が取り組みを本格化しております。

 

ただ、どのような取り組みをしていて何が課題なのか、わかりにくいですよね。

 

✅本記事の内容

  • なぜ今ペロブスカイト太陽光電池に注目が集まっているのか

  • ペロブスカイト太陽光電池と従来の太陽光パネルの違い

  • ペロブスカイト太陽光電池の5つのメリット

  • ペロブスカイト太陽光電池の3つの課題

  • ペロブスカイト太陽光発電を普及させるための政府の動き

  • ペロブスカイト太陽光電池の展望

 

✅本記事の信頼性

・現役の某太陽電池メーカーの営業マン「スポンジ」が監修(営業キャリア10年以上)

・営業実績は、住宅用太陽光発電200棟/月を販売継続(3年以上)

 

ペロブスカイト太陽電池は日本が最初に発明した技術です。

 

ただ、今や中国企業の方が日本よりもはるかに特許を多く申請しております。

 

つまり、日本の技術が中国をはじめとする他国に取られかねない状況になっているということです。

 

この記事を読んでもらえれば、ペロブスカイト太陽電池の基本的な知識やメリットデメリット、どのような政府の後押しがあって、今後の展望はどうなっていくのかが理解できるようになります。

 

なぜ今ペロブスカイト太陽光電池に注目が集まっているのか

「なぜ今、ペロブスカイト太陽光発電は注目されているのか?」

 

それは、電力コストの上昇や再エネ導入のニーズが高まるなかで、革新的な可能性を秘めた新技術として注目を浴びているからです。

 

軽量かつ柔軟、高効率、さらに製造の手軽さまで備えているこの技術は、従来の太陽光発電の常識を覆す存在として期待されています。

 

しかも、日本はその主原料であるヨウ素の埋蔵量が世界一です。

 

つまり、技術・資源・政策の三拍子がそろえば、どこよりも先にペロブスカイト太陽電池の導入が可能なタイミングなのです。

そもそもペロブスカイトとは?

ペロブスカイトとは、メチルアンモニウム・鉛・ヨウ素などからなる結晶構造を指します。

 

もともとは鉱物に似た構造から名付けられましたが、今やその名は次世代の太陽電池技術として世界中で知られつつあります。

 

光を効率よく吸収し、低温でも簡易に製造できる特性があるため、従来のシリコン型に代わる選択肢として脚光を浴びているのです。

 

「安くて高性能、しかも応用範囲が広い」──この素材が注目されるのは当然かもしれません。

日本はヨウ素の埋蔵量が世界No.1

日本はペロブスカイト太陽光電池の主原料である「ヨウ素」の埋蔵量で世界No.1、さらに生産量ではチリに次いで2位というポジションにあります。

 

つまり、国内での安定調達が可能で、仕入れコストも抑えられるということです。

 

サプライチェーンの強さは、エネルギー導入コストの安定化にも直結します。

 

エネルギーを自給したい企業にとって、まさに日本ならではの強みと言えるでしょう。

ペロブスカイトの種類

実はペロブスカイト太陽光電池には3つのタイプが存在します。

 

  1. 軽量で曲げられる「フィルム型」
  2. 窓ガラスなどと一体化可能な「ガラス型」
  3. 高効率を実現できる「タンデム型」

 

これらはすべて、用途や設置場所に応じて選べるという柔軟性を備えています。

 

すでに経済産業省もその将来性に注目しており、研究支援や量産技術の確立が進められている状況です。

 

つまり、この技術は単なる話題性にとどまらず、政策的にも後押しされている本命なのです。

ペロブスカイト太陽光電池と従来の太陽光パネルの違い

「同じ太陽光発電でも、何がそんなに違うのか?」──そう思った方も多いでしょう。

 

実は、ペロブスカイト型と従来のシリコン型では、材料から製造工程、設置方法に至るまで大きな違いがあります。

 

特に注目したいのが、製造のしやすさと設置の自由度です。

 

高温工程や重い構造がネックだった従来型に対し、ペロブスカイトは軽くて作りやすいのが最大の武器です。

 

導入コストを抑えたい企業にとって、これは見逃せないポイントでしょう。

材料と製造工程

シリコン型の太陽光パネルは、高純度シリコンの精製から始まり、ウェハー加工、ガラス封入など多段階の工程が必要です。

 

しかも、高温処理を伴うため、製造には多くのエネルギーと設備が必要でした。

 

これに対してペロブスカイト型は、ヨウ化鉛やメチルアンモニウムを印刷するように基板に塗布し、低温で結晶化するというシンプルな構造です。

 

だからこそ、製造コストが下がりやすく、中小企業でも取り扱いやすいという大きな利点があります。

発電メカニズムと発電効率

ペロブスカイト太陽光電池は、光を受けて電子と正孔(+の電荷)を発生させることで電力を生み出します。

 

このメカニズム自体はシリコン型と似ていますが、構造の違いから光の吸収効率が高く、最新の「タンデム型」では変換効率30%超という驚異的な数値も記録されています。

 

一方、シリコン型は26.7%程度が上限値とも言われています。

 

スペースあたりの出力を最大化したい製造業にとって、ペロブスカイトは非常に魅力的な選択肢になります。

物理的な特性

「軽い、薄い、柔らかい」──ペロブスカイト太陽光電池を一言で表すと、この表現が合致します。

 

シリコン型が重くて硬いのに対し、ペロブスカイトは100分の1の厚み、10分の1の重量です。

 

その結果、これまで設置が難しかった建物の壁面、曲面、さらには移動体の屋根や車体にも設置できるようになります。

 

発電設備が場所を選ばないというのは、今後の再エネ普及において強力なアイテムです

ペロブスカイト太陽光電池の5つのメリット

つぎに、ペロブスカイト太陽光発電が注目される5つの理由やメリットをお伝えします。

 

今、エネルギー業界で話題沸騰中の「ペロブスカイト太陽光電池」。

 

その理由は、高効率でありながらも軽量・柔軟、そして製造の手間も少ないという優れた特性にあります。

 

とくにシリコン型との比較では、設置の自由度が圧倒的に広く、壁面や窓、さらには移動体への応用まで期待できるのが魅力です。

 

自社の電力コスト削減、省エネ法対応、ESG評価向上を目指す方にとって、きっと役立つヒントが見つかるはずです。

発電効率が高い

実は、ペロブスカイト太陽光電池は開発初期段階から高効率が売り。

 

単体でも20%前後の変換効率を誇り、実用化が進んでいるシリコン型と肩を並べる性能です。

 

さらに注目なのが「タンデム型」。

 

これはシリコン型の上にペロブスカイト層を重ねる構造で、30%超の変換効率を実証済みになっています。

 

限られたスペースでも、しっかり発電できるのが最大の強みです。

製造コストが低減できる

コスト面でも、ペロブスカイトは期待を裏切りません。

 

なぜなら、従来のように高温でシリコンを精製したり、大掛かりな装置を必要としないからです。

 

印刷や塗布といった簡易な製造工程で量産できるのが大きなメリットになります。

 

原材料もレアメタルを含まず、国内調達が可能なものばかりです。

 

実際、ロールツーロール方式による自動生産技術も研究が進んでおり、将来的には一気にコストが下がる見込みです。

 

「高性能なのに安い」──それがペロブスカイトの真価です。

軽量かつフレキシブル

「薄くて軽くて曲がる」──これがペロブスカイト太陽光電池の最大の特徴と言っても過言ではありません。

 

厚さはシリコン型の100分の1、重さは10分の1です

 

従来のように屋根限定ではなく、曲面の壁や窓、さらには風力発電のブレードにまで取り付け可能になります。

 

実際、積水化学では風車の羽根への設置実証を行っており、今後は建築物だけでなく移動体電源としての活用も広がるでしょう。

 

空間を選ばない再エネ技術、それがペロブスカイトです。

半透明化の可能性を持っている

「窓ガラスが発電する時代」──それを実現しようとしているのが、半透明型のペロブスカイトです。

 

現在、建材と一体化できる太陽電池として、スマートビルディングやゼロエネルギービルへの応用が期待されています。

 

特に、光を通す性質を生かして、窓やカーテンウォールに組み込めば、採光と発電を両立できるという革新的な構想が現実に近づいています。

 

設置スペースの概念を変えるこの技術、今後の都市型再エネの鍵となるでしょう。

環境負荷が小さい

地球にも、工場にもやさしい──それがペロブスカイトの隠れた強みです。

 

製造時の温度が低く、100℃程度の加熱で発電層を結晶化できるため、エネルギー消費やCO2排出を大幅に抑えることができます。

 

さらに、原材料にレアメタルを使わない点も見逃せません。

 

これは採掘時の環境破壊や輸送負荷の低減にもつながり、SDGsESGを重視する企業にとって大きなアドバンテージになります。

 

環境規制が厳しくなる中で、この特性は今後ますます評価されるはずです。

ペロブスカイト太陽光電池の3つの課題

つぎに、ペロブスカイト太陽光発電の3つの課題をお伝えします。

 

ペロブスカイト太陽光電池は、実用化に向けた課題が3つ残されています。

 

  1. 耐久性
  2. 鉛による環境リスク
  3. 量産時のコスト

 

これらを正しく理解しないまま導入を急ぐと、思わぬトラブルを招くおそれもあります。

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

耐久性と安定性

まず最初に押さえておきたいのが、「湿気・紫外線に弱い」という性質です。

 

ペロブスカイトは高温多湿の日本では、湿気によって結晶が分解されやすく、発電効率が一気に落ちるケースもあります。

 

また、紫外線に長時間さらされると分子構造が変化し、色が変わったり、電気を通しにくくなったりすることもあります。

 

夏場の屋外では表面温度が7080℃になることもあり、結晶が不安定になりがちです。

 

現在は耐候性を高める封止材やコーティング技術が開発中で、これらが普及すれば耐久性問題は徐々に克服される見込みです。

鉛含有による環境問題

「鉛を使っている」という事実も、企業にとっては気になるポイントです。

 

ペロブスカイト太陽光電池には微量の鉛が含まれており、破損や廃棄の際に漏れ出した場合、環境汚染を引き起こす可能性があります。

 

たとえ量が少なくても、CSRSDGsを意識する企業にとっては無視できない問題です。

 

すでに鉛フリー化に向けた材料開発が進められており、今後の製品では無鉛仕様が主流になる可能性もあります。

コスト

最後に見逃せないのが「量産コスト」の課題です。

 

ペロブスカイト太陽光電池は理論的には安価に作れる技術ですが、現時点では量産技術が確立されておらず、製造コストがまだ高めです。

 

特に、量産ラインを保有している企業が限られているため、供給の安定性や価格競争力ではシリコン型に及びません。

 

ただ、積水化学などが量産体制の整備に向けた新会社を設立するなど、着実に前進しています。

 

2040年を見据えた導入計画を立てておけば、次のスタンダードを先取りできるかもしれません。

ペロブスカイト太陽光発電を普及させるための政府の動き

いくら技術が優れていても、制度やインフラが整っていなければ社会実装は難しい──そこで重要なのが「政府の後押し」です。

 

日本政府は今、ペロブスカイト太陽光電池を再エネの切り札として位置づけ、開発支援・量産体制・設置基準の整備など多方面からの支援を本格化させています。

 

GX政策の一環として、サプライチェーン強化と同時に、発電コストの低減にも本腰を入れており、企業にとっては今が導入検討の好機です。

量産技術の確立

政府が進める「次世代太陽電池プロジェクト」では、総額648億円のGI基金を活用し、2030年までに発電コスト14/kWhを目標としています。

 

これは、現在主流のシリコン型が6/kWh程度であることを考えるとまだ高めですが、ペロブスカイトのコストは急激に下がる可能性があります。

 

実際、積水化学などは量産化に向けて新会社を設立し、ギガワット級の製造体制構築を進めています。

 

また、大企業は1/3、中小企業は1/2の補助金が出るため、初期投資のハードルも下げられます。

需要の創出

供給体制の構築と並行して、需要サイドへの刺激も強化されています。

 

政府は2040年までに20GWの導入を目指し、官公庁や自治体施設などでのモデル導入を推進中です。

 

特に再エネ導入が遅れていた都市部や工業地帯において、実証実験を通じた価値証明が進んでいます。

 

民間企業にとっても、自治体との連携や補助金活用による導入チャンスが増加中です。

 

海外展開も視野に入れて、国産技術としての地位確立が急がれています。

施工・設置基準の整備と国際標準化

技術が革新的であるほど、それを支える制度整備が重要になります。

 

ペロブスカイト太陽光電池についても、政府は建築基準法の見直しや設置マニュアルの策定に着手しております。

 

特に、フィルム型やガラス一体型といった新構造に対応したガイドライン整備が求められています。

 

さらに、国際的な品質規格の策定(ISOなど)も進められており、これにより海外市場での競争力強化が期待されます。

 

つまり、国内外で「使いやすい技術」に進化しているのです。

ペロブスカイト太陽光電池の展望

ペロブスカイト太陽光電池は、まさに次世代のゲームチェンジャーと言える存在です。

 

薄くて軽く、曲げられる特性を活かして、これまで太陽光設置が難しかった壁面や曲面、建物の窓などにも応用できるのが大きな魅力になります。

 

さらに、日本は主原料のヨウ素の埋蔵量が世界一、生産量も2位と資源面でも圧倒的な優位性を持ちます。

 

ただ、耐久性や鉛含有の環境リスク、そして量産体制といった課題も存在しています。

 

政府は、補助金による支援や設置基準の整備を進めており、2040年には主力電源としての実用化を目指しています。

 

再エネの主役交代が現実になる日は、そう遠くないかもしれません。

月別アーカイブ

CONTACT

お問い合わせ

ご質問・お問い合わせは
下記お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。

arrow