【太陽光発電の選び方7選】失敗しないためのコツを徹底解説
2024.07.15
電気代の高騰もあり、家庭用太陽光発電を設置される方が増えてきております。
一方で、訪問販売会社から高額な太陽光発電を買わされたり、設置したは良いものの思ったような節電、売電金額が得られない等の不満を持つお客様がいるのも事実です。
✅本記事の内容
- 太陽光発電システムの選び方が重要な3つの理由
- 太陽光発電の7つの選び方
✅本記事の信頼性
・現役の某太陽電池メーカーの営業マン「スポンジ」が監修(営業キャリア10年以上)
・営業実績は、住宅用太陽光発電を200棟/月を販売継続(2年以上)
太陽光発電システムの基礎知識は分かったけど、いざ設置を検討する場合にどのような選び方をすれば良いのか分かりにくいですよね。
本記事を読めば太陽光発電で注意すべき7つの選び方をお伝えするので、太陽光発電の選び方で失敗せずにベストな太陽光発電を選ぶことができるようになります。
※太陽光発電の基礎知識を再確認したい方は【太陽光発電の基礎知識】初心者にもわかりやすく解説!の記事を覗いてみてください。
太陽光発電システムの選び方が重要な3つの理由
まず、太陽光発電システムの選び方が重要である3つの理由を解説します。
✅選び方が重要である3つの理由
- 太陽光発電の業界トレンドを知らないと失敗するため
- 相場価格を知らないと損をするため
- 何kWの太陽光発電を設置してどんな生活ができるのか知らないと失敗するため
太陽光発電はよく調べて選ばないと、設置後に後悔してしまうことがあります。
後悔しないために、太陽光発電の選び方で基本的な3つをまずはおさえていきましょう。
1.太陽光発電の業界トレンドを知らないと失敗する
まずは、太陽光発電の業界トレンドを理解しておくことが重要です。
太陽光発電は国内外いろいろなメーカーが販売しているため、業界トレンドを知らないともったいない選択をしてしまうことになります。
時期によって、どこの太陽電池メーカーのどんな商品がどのような理由で売れているのかを理解することが重要です。
わかりやすい事例で日本国内の太陽電池の販売実績を理解しておくことをオススメします。
下記のグラフは2023年度の住宅用太陽光発電の販売シェアを表しております。
販売実績の上位3社の特徴を簡単にお伝えします。
1位:長州産業
日本で太陽電池を製造している唯一の国内メーカーです。
京セラ、シャープ、パナソニックの太陽電池は海外のOEM品になっており、日本国内での生産は終了しています。
海外メーカーの太陽電池は年々サイズが大きくなっていますが、日本の屋根にあったサイズの小さい太陽電池で販売数を延ばしました。
長州産業は機器保証や出力保証のほか施工保証も標準でついてくるため、アフターケアまでしっかりしている安心なメーカーとなります。
2位:ハンファジャパン
Qセルズというドイツの太陽電池メーカーを韓国のハンファが買収した海外メーカーです。
アメリカやヨーロッパでの販売量が№1で、高い品質や技術力で高性能な太陽電池を販売しています。
日本では、家庭用太陽光発電で初めてN型の太陽電池(Q.TRONシリーズ)を2024年にリリースしました。
弱い光でも多くの発電が期待できて、出力保証、製品保証ともに25年保証で注目を浴びている太陽電池です。
3位:シャープ
日本国内の老舗の太陽電池メーカーの1つがシャープです。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)に認められた国内唯一のメーカーで、太陽電池は人工衛星にも搭載されています。
正方形・長方形の太陽光パネルだけでなく台形型までそろっており、複雑な屋根でも無駄なく設置が可能です。
設置後の発電量や、異常が発生した場合はすぐに知らせてくれる安心なモニタリングサービスが無料で提供されます。
昔からある太陽電池メーカーということで安心感を求められる方に未だ高い支持が集まっています。
以上、上位3位のメーカーを紹介しました。
どのメーカーが売れていてどんな製品が販売されているか、安心できるメーカーなのかをよく調べて、失敗しないようにしましょう。
2.相場価格を知らないと損をする
2つ目が、家庭用太陽光発電の相場価格を理解しておくことが重要です。
太陽光発電システムは相場価格を知らないと高く買ってしまったり、安すぎる価格で購入するとトラブルに繋がってしまいます。
2012年のFIT制度の開始とともに太陽光発電を導入されている方が増えたため、太陽光発電の訪問販売業者も増加しました。
残念ながら中には悪質な業者も存在し、相場価格よりも高い金額で提示し「この価格で買えるのは今日だけ」などの謳い文句で契約を急がせようとします。
また、逆に安すぎる金額にも注意が必要です。
メーカー指定の部材でなく安価な部材を使ったり、必要な施工を省略し工事費用をコストカットして安く見せるようにしている可能性があるためです。
ちなみに経済産業省のデータによると、2024年度のシステム費用は平均25.5万円/kWになります。
たとえば、太陽光発電を4kW設置する場合、4kW×25,5万円=102万円が相場価格となります。
太陽光発電の見積を取った時に、相場価格と比べてどうなのか、相場価格と大きく乖離している場合はどのような理由があるのかを確認するようにしましょう。
相場価格を知っているだけで、悪質な訪問販売会社から太陽光発電を買わされることがなくなります。
3.何kWの太陽光発電を設置してどんな生活ができるのかを知らないと失敗する
3つ目が、どれくらい(何kW)の太陽光発電でどんな生活が送れるのか理解することが重要です。
設置した太陽光発電のシステム容量に対して、「どれくらい電気代が節約できるのか」、「売電収入はいくらぐらい得られるのか」などを知らないと、経済メリットを実感できず失敗したと感じてしまいます。
まず、そもそも1ヵ月当たりどれくらいの電気を使っているのかを把握しましょう。
平均的に、電気ガス併用の4人家族の電気使用量は400kWh/月(4,800kWh/年)で、オール電化の4人家族の電気使用量は600kWh/月(7,200kWh/年)です。
また、太陽電池は1kW当たり年間で約1,100kWhの電気を作ることができます。
ざっくりとどれくらいの太陽電池を設置すれば、どれくらいの電気が賄えそうかは想像がつくと思います。
詳細はこの後の「太陽光発電の選び方 5.最適な太陽電池容量」で解説します。
太陽光発電の7つの選び方
それでは、実際に太陽光発電を選ぶ際のポイントを7つ解説します。
✅7つの太陽光発電の選び方
- 太陽電池の変換効率
- 太陽電池の耐久性やサイズ
- パワーコンディショナ
- kW単価
- 最適な太陽電池容量
- 保証内容
- 優良な業者かどうか
具体的に、7つのポイントを詳しく見ていきましょう。
1.太陽電池の変換効率
1つ目が、太陽電池の変換効率です。
変換効率とは太陽光の光エネルギーをどれくらい電気に変換できるかを示す割合のことです。
太陽電池モジュールの変換効率は下記の計算式から導き出せます。
太陽電池モジュール変換効率=(モジュール公称最大出力(W)×100)÷(モジュール面積(m2)×1000(W/m2))
現在流通している太陽電池モジュールの変換効率は20%前後です。
屋根のサイズが小さかったり、特殊な形状で設置する面積が限られてしまう場合や、より多くの発電量を得たい方は変換効率の高い太陽電池を選ぶといいでしょう。
2.太陽電池の耐久性やサイズ
2つ目が、太陽電池の耐久性やサイズです。
耐久性
太陽光発電システムは高価な買い物になるため、できるだけ長く恩恵にあずかりたいですよね。
そのため、太陽電池の耐久性は選ぶ際の重要なポイントとなります。
太陽電池は屋外に設置するため雨風にさらされたり、温度の変化に耐えなければいけません。
どの太陽電池もJIS規格で耐久性試験を行っているため、基本的には太陽電池メーカーが保証している年数(およそ15年程度)は問題なく使い続けることが可能です。
ただ、太陽電池メーカーごとにJIS規格よりも更に厳しい耐久性試験に合格しているものもあります。
具体的には、ハンファジャパンやロンジソーラーなどの海外メーカーの方が最近は耐久性の高い太陽電池が販売されております。
サイズ
太陽電池はご自宅の屋根の形にあわせたサイズを選ぶことが必要です。
一般的に出力が大きいほどパネルのサイズも大きくなりますが、一概に出力が大きい太陽電池を設置すれば良いとは限りません。
屋根の形によっては、出力は小さいですがサイズの小さいものを組み合わせたほうが、設置できる容量が増えるケースもあります。
基本的には、海外メーカーよりも国内メーカーの方が小型の太陽電池を販売しております。
家の屋根が小さい、もしくは寄棟のように複雑な屋根であれば小型の太陽電池の方が太陽電池容量が大きくなる可能性が高いです。
また、サイズだけでなく重量も考慮しなければなりません。
400W程度の太陽電池であれば1枚あたり約20kgの重さのため、10枚(4kW)の設置で総重量は約200kgです。
特に、既築住宅は太陽電池を設置する前提で家の設計をしていない可能性があるため、太陽電池を乗せるだけの耐荷重があるのかは家を建てられた建築業者に確認しておきましょう。
3.パワコン
3つ目が太陽光発電の心臓部と言われているパワーコンディショナです。
太陽電池からは直流の電気が発電されるので、家庭で使える交流の電気に変換する重要な装置となります。
設置場所から選ぶ
パワコンは屋内に設置するタイプと屋外に設置するタイプがあります。
屋内パワコンと屋外パワコンのメリット・デメリットを纏めました。
設置場所 | メリット | デメリット |
屋内パワコン | ・自立運転専用コンセントがパワコンに付属
・屋外型に比べ安価 ・コンパクト
|
・設置場所の確保が難しい ・接続箱が必要 ・人によっては運転音が気になる
|
屋外パワコン | ・設置場所の確保がしやすい
・接続箱が内蔵されている ・運転音が気にならない |
・屋内型に比べ高額 ・設置場所次第で運転音が近隣トラブルになる ・自立運転用コンセントは別途工事が必要 |
また、2024年2月にハンファジャパンより屋外用の拡張型ハイブリッドパワコン(Q.READY)が発売されました。
これまでにはないハイスペックなパワコンとして注目度が高いパワコンです。
屋内パワコンと大きく金額が変わらずに、蓄電池やV2Hが後付けできるパワコンになっているため、将来的には蓄電池やV2Hを検討されている方にオススメなシステムになります。
Q.READYパワコンは停電時の自立運転出力が5,900W出せるので、一般的なパワコンの自立運転出力1,500Wよりも大きいのも特徴になります。
もう少し詳細を知りたいという方は、「Q.READYで太陽光+V2H(電気自動車)の暮らし」の記事を参考にしてみてください。
変換効率
パワコンも変換効率が高い製品を選ぶことも大切です。
変換効率が高いほうが、直流から交流の電気に変換する時に損失するエネルギーが少なくなります。
つまり、変換効率が大きいパワコンの方が実際に使える電気が多くなるということです。
パワコンの変換効率は約96%程度が一般的になります。
変換効率の低い在庫に残っているようなパワコンで提案してくる販売店もあるので注意が必要です。
定格出力
パワコンの定格出力以上の電気を太陽電池で発電した場合、定格出力以上は直流から交流の電気に変換できません。
つまり、太陽電池とパワコンのバランスが重要です。
ただ、太陽光パネルが最大限に発電できることはめったにないため、パワコンの容量より太陽光パネルの容量を多くする過積載で設置し、発電量を増やすことをおすすめします。
太陽光発電のパワコンの記事で詳しく記載してるため、気になる方は「太陽光発電のパワコン」の記事を覗いてみてください。
4.kW単価
4つ目が、太陽光発電システムのkW単価です。
太陽光発電を導入する際の初期費用は、太陽光パネル・パワコンなどの個々の単価ではなく、kW単価で把握することが必要です。
kW単価とは1kWあたりの価格のことで、太陽光パネル・パワコン・その他周辺機器・架台・設置工事費などが含まれており、以下の計算式から算出できます。
太陽光発電設置総額 ÷ システム容量(kW)=kW単価
4kWの太陽光発電を設置する初期費用が100万円だった場合、kW単価は25万円となります。
例えば、複数メーカーからの見積りが下記の通りだったとします。
総額で見るとA社の方が高く見えますが、kW単価で見るとA社は24万円、B社は25万円となり、A社のほうがkW単価が安くコストパフォーマンスが高いということになります。
kW単価が上がる要因を幾つか紹介します。
- 積雪が多いエリア
- 風速が強いエリア
- 海からの距離が近いエリア
- 足場代がかかる場合(既築住宅)
- 太陽電池の設置容量が小さい場合
- 支持瓦金具を使う場合(※瓦屋根限定)
上記以外でkW単価が高い場合は、販売店が利益を乗せすぎている可能性を疑ってみましょう。
5.最適な太陽電池容量
5つ目に太陽電池の最適な容量です。
容量を決める時に「ご家庭で毎月どれくらいの電力を使用しているのか」、「何kWの太陽光発電を設置すればどんな生活ができるのか」を理解しておきましょう。
太陽光発電は1kWあたり1日3kWh程度発電します。
たとえば1か月400kWhの電気を使用してるご家庭の場合、1日約13kWh(400kWh÷30日)の電気を使用してることになるため、4kW程度の太陽光発電を設置すれば太陽の出ている昼間は電気を十分に賄うことができ、余った電気で売電収入を得られることになります。
さらに業者にシミュレーションしてもらうことで、具体的に発電量や経済効果を確認することができます。
下記はハンファジャパンの経済効果シミュレーションです。
・システム容量:4kW
・京都府設置
・年間の発電電力量:4666kWh
・電気料金単価:35円/kWh
・売電単価:16円/kWh
・売電率:70%
このシミュレーションによると、売電金額¥52,259(4,666kWh×70%×16円/kWh)+節電金額¥48,993(4,666kWh×30%×35円/kWh)で、年間約¥101,252の経済効果があることが分かります。
契約されている電気料金メニューや普段の生活スタイル(昼に電気を使うのか、夜や朝方に電気を使うのか)によっても節電効果は変わってきます。
ただ言えることは、1kWや2kWでも太陽光発電は設置した方が良いことです。
昔は、売電単価が40円/kWhと高かったためにいかに売電させるかが経済メリットに直結していましたが、今は電力会社からの購入単価が高いので1kWや2kWの太陽光発電でも節電をすることに大きな意味があります。
具体的に、自分の家には何kWの太陽光発電を設置したらいいのか、年間の発電量や経済効果を確認されたい方は、当社ENCにお気軽にご相談ください。
6.保証内容
6つ目が、保証内容を確認することです。
太陽光発電はトラブルが発生するケースも少なくありません。
メーカーからの保証がついていれば製品起因による不具合や故障などのトラブルがあった場合、保証期間内であれば無償で修理や交換などの対応を行ってもらえます。
メーカー独自の保証を付けている場合もありますが、一般的に「出力保証」と「システム機器保証」の2つが付いてきます。
出力保証
太陽電池の公称最大出力に対して、規定値を下回った場合に無償で太陽電池の交換を行ってもらえる保証。
システム機器保証
太陽電池やパワコンなど周辺機器をマニュアル通りに使用・設置しているのに、トラブルや不具合があった場合、無償で修理や交換を行ってもらえる保証。
保証期間は最低でも10年となりますが、メーカーによって異なるため、保証内容とあわせて確認しましょう。
7.優良な業者を選ぶ
7つ目が、優良な業者を選ぶことです。
太陽光発電の業者には、残念ながら悪質な業者も存在しています。
悪質な業者を選んでしまうと、相場価格よりも高く買ってしまったり、ずさんな工事で施工不良や雨漏りなどのリスクが発生してしまう恐れがあります。
では、優良な業者を選ぶポイントを説明します。
✅優良な業者選びの4つのポイント
- 施工実績が多い
- 資格を持っているかどうか
- アフターフォローがしっかりしている
- 初期費用だけでなく、メンテナンスコストについて説明してくれる
施工実績が多い
施工実績が多いほど、経験が豊富なため技術も高くなります。
目安として1,000棟以上の施工実績があれば、安心して工事をしてもらえるでしょう。
資格を持っているかどうか
太陽光発電の設置には、電気系統の工事をするために必要な電気工事士の資格と、メーカーごとに発行されている施工IDが必要です。
ちゃんと資格を持っているか、業者に確認しましょう。
アフターフォローがしっかりしている
太陽光発電は長期的に使うため、設置後に定期的な点検やメンテナンスが必要となります。
しっかりしたアフターサービスを行っているかどうか確認しましょう。
初期費用だけでなく、メンテナンスコストについて説明してくれる
太陽光発電にかかる金額は初期費用だけではありません。
点検などのメンテナンスコストや、パワコンの寿命は約15年のため買い替えの費用もかかってきます。
具体的には、定期点検は設置から4年に1回は実施するように国は推奨しております。(約5万円程度)
パワコンの交換費用も工事費込みで20万円程度です。
設置時にだけかかる費用だけでなく、将来的に発生する費用を説明してくれる業者は優良な業者といえます。
太陽光発電の失敗しない選び方
本記事では、太陽光発電の失敗しない選び方を解説しました。
改めて、7つの選び方を確認しましょう。
✅太陽光発電の失敗しない7つの選び方
- パネルの変換効率
- 太陽光パネルの耐久性やサイズ
- パワコン
- kW単価
- 最適な太陽電池容量
- 保証内容
- 優良な業者を選ぶ
太陽光発電の選び方をしっかり学べば、ご自宅に最適なシステムを導入でき、失敗や後悔することなく快適な生活を手に入れられます。
また、太陽光発電は国の政策によって大きく影響を受ける商品です。
設置に悩んでいる方は、ぜひENCまでご相談ください。
太陽光業界歴10年以上のプロが、あなたにあった太陽光発電の選び方のお手伝いをします。