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太陽光発電

【2026年最新】FITと非FIT、どちらがお得?固定と変動を比較

2026.09.27

FITと非FIT、どちらがお得?

FITと非FITはどちらがお得か、固定と変動の売電方式を比較するイメージ図

 

太陽光発電の導入を検討していると、必ず一度は立ち止まる分かれ道があります。

 

「10年間ずっと同じ単価で売れるFITにするか、市場の値動きに合わせて売る非FIT(市場連動買取)にするか」——この選択です。

 

そしてほとんどの方が、同じ違和感を口にされます。「電気代はこんなに上がり続けているのに、売る側だけ10年間同じ値段で固定してしまって、本当に損をしないのだろうか」と。

 

この違和感は、率直に言って正しい問題意識です。

 

2026年度のFIT(住宅用10kW未満)は、初期投資支援スキームによって最初の4年間が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhという二段構成になっています(資源エネルギー庁)。

 

一方、電力の市場価格であるJEPX(日本卸電力取引所)のスポット価格は、2026年度の年度平均システムプライスが約15.81円/kWh。

 

真夏には2週間平均で約21.62円/kWhに達した局面もありました。数字だけを並べれば、FIT後半の8.3円は市場平均に明確に負けています。

 

ただし、結論を先に言うと、この話は多くの方が思うほど単純な二択ではありません。

 

FIT前半4年の24円は今の市場水準より高く、市場連動には春や秋に1〜数円/kWhまで沈む時間帯が現実に存在します。

 

さらに言えば、そもそも「売り方」の議論は、家庭の経済合理性のなかでは二番目の論点です。

 

この記事では、太陽光発電・蓄電池の卸売専門商社であるENCが、FITと非FIT(そしてしばしば混同されるFIP)の違いを整理したうえで、どちらがどんな家に向くのかを、上振れも下振れも隠さずに解説します。

 

✅この記事の結論(先に要点だけ)

・家庭(10kW未満)が実際に選べるのは「FIT」か「非FIT(市場連動買取)」の二択です。FIPは原則として事業用の制度で、住宅用10kW未満は直接選べません

 

・2026年度FITは前半4年24円/kWh・後半6年8.3円/kWhの10年固定(資源エネルギー庁)。JEPXスポットの2026年度平均は約15.81円/kWh。後半は市場平均に負け、前半は市場平均に勝つ——これが数字の実態です

 

・非FIT(市場連動)は電力価値の上昇をそのまま取り込める一方、春秋の低需要期や快晴の昼間には1〜数円/kWhまで下がる時間帯もあります。上振れと下振れはセットです

 

・住宅ローンは「払う側」なので金利上昇局面では固定が守りになります。売電は「受け取る側」なので、電力価値の上昇局面では変動(市場連動)が攻めになりうる——固定と変動の有利不利は立場で反転します

 

・ただし購入電力単価は多くの家庭で30円/kWh超。売電単価(FITでも非FITでも)を大きく上回るため、経済合理性の第一は「自家消費の最大化」です。売り方は「自家消費して余った分の出口」の話にすぎません

 

・どちらが得かは、余剰電力がどれだけ出るか=パネル容量と蓄電池・EVの組み方でほぼ決まります。売り方を選ぶ前に、自宅の余剰量を数字にすることが先です

 

✅本記事の信頼性

・現役の某太陽電池メーカーの営業マン「スポンジ」が監修(営業キャリア10年以上)

・営業実績は、住宅用太陽光発電を200棟/月を販売継続(3年以上)

・蓄電池を30台/月を販売継続

 

まず用語を整理——FIT・非FIT・FIPは何がどう違うのか

結論:家庭が実際に選べるのはFITか非FIT(市場連動買取)の二択で、FIPは原則として事業用の制度です。ここを混同したまま比較すると、存在しない選択肢を検討することになります。

 

比較の前に、言葉の整理から始めさせてください。

 

ネット上の情報では「FIT・FIP・非FITの3つから選ぶ」と書かれていることがありますが、戸建て住宅(10kW未満)にお住まいの方にとって、これは正確ではありません。

 

FIT(固定価格買取制度)——国が単価と期間を決める

FITは、国が定めた単価で、定められた期間、電力会社が必ず買い取ることを保証する制度です。

 

2026年度の住宅用10kW未満は、初期投資支援スキームにより最初の4年間が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWh、交付期間は10年間と定められています(資源エネルギー庁)。

 

前半に手厚く配分することで、初期費用の回収を早める設計です。

 

FITの最大の価値は予見性にあります。10年後まで単価が動かないので、「何年で回収できるか」を導入前に計算でき、その計算が途中で崩れません。

 

住宅ローンと並行して家計を組み立てる世帯にとって、この安心感は無視できない実利です。

 

一方で、あまり知られていない性質もあります。FITで発電した電気の環境価値(非化石価値)は国に帰属し、手元には残りません。

 

これは買取原資の一部が再エネ賦課金として国民全体から集められている以上、当然の設計ではあるのですが、「自宅で作った再エネの環境価値を自分のものとして使いたい」という方にとっては制約になります。

 

関連記事:【最新版】2026年にFIT制度が変わる?

 

非FIT(市場連動買取)——JEPXの価格に連動して売る

非FITとは、FIT認定を受けずに、買取事業者と個別に契約して余剰電力を売る方式です。

 

なかでも近年広がっているのが市場連動買取プランで、JEPX(日本卸電力取引所)のスポット市場価格に応じて、30分ごとに買取単価が変動します。

 

代表的なサービスとして「エネまかせ(ENEMAKASE)」などがあります。

 

メリットは大きく4つあります。

 

①電力価値そのものの上昇を、時間差なく売電収入に反映できる。

②発電の環境価値が自分の手元に残り、証書化することも可能。

③自治体によっては「非FITであること」を条件にした補助金(例:7万円/kW前後など、金額・要件は自治体により異なります)を使える。

④FITの買取原資である再エネ賦課金を増やさない、という社会的な意味合いもあります。

 

デメリットも正直に書きます。単価が保証されないこと、下振れする時間帯が確実に存在すること、そして売電先(買取事業者)を自分で選び、契約する必要があることです。

 

FITのように「制度に乗れば自動的に決まる」わけではありません。

 

関連記事:住宅用太陽光発電の非FITの仕組みとENEMAKASEの活用方法

 

FIP——「市場連動という考え方」の事業用版

FIP(Feed-in Premium)は、市場価格で売電したうえで、そこにプレミアム(供給促進交付金)が上乗せされる制度です。

 

市場価格が下がったときはプレミアムが厚くなり、上がったときは薄くなる形で、再エネ事業者が市場を意識しながら発電するよう促す設計になっています。

 

ただし、ここが最も誤解されやすい点です。FIPは基本的に事業用(10kW以上等)を対象とした制度であり、住宅用10kW未満は原則としてFIPを直接選べません。

 

「変動型に興味がある」という方が調べてFIPの記事にたどり着き、そのまま「うちもFIPにしよう」と考えてしまうケースをよくお見受けしますが、家庭が実際に選べる変動型は非FITの市場連動買取のほうです。

 

とはいえ、FIPを知っておく価値はあります。日本の再エネ政策が「固定価格で守る」段階から「市場に統合していく」段階へ移りつつあることを、最も象徴的に示しているのがFIPだからです。

 

この流れは住宅用にも間接的に影響します。FIPそのものは、市場連動という考え方の事業用版として理解しておけば十分です。

 

関連記事:太陽光発電のFIP制度とは?メリット・デメリット/FIT制度からFIP制度へ:太陽光発電の売電制度の変遷

 

FIT・非FIT・FIPの違いと、住宅用で選べるのはFITと非FITの2つであることを示す図解
比較項目 FIT(固定価格買取) 非FIT(市場連動買取) FIP(プレミアム型)
住宅用10kW未満で選べるか 選べる 選べる 原則として選べない(事業用向けの制度)
売電単価の決まり方 国が年度ごとに定めた単価で固定 JEPXスポット価格に連動し30分ごとに変動 市場価格+プレミアム(供給促進交付金)
2026年度の水準の目安 1〜4年目24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWh JEPX年度平均は約15.81円/kWh(時間帯で1円台〜20円台まで変動) 案件ごとに基準価格・参照価格から算定
期間 交付期間10年(10kW未満) 買取事業者との契約による(乗り換えも可能) 交付期間20年(事業用)
環境価値(非化石価値) 国に帰属し手元に残らない 自分に残る(証書化も可能) 発電事業者に帰属
収入の予見性 非常に高い(10年先まで計算できる) 低い(上振れも下振れもある) 中程度(プレミアムが変動を一部緩和)
補助金との関係 FIT前提の補助金がある一方、非FIT限定の補助金は使えない 自治体によっては非FITを条件とする補助金を使える 事業用の各種支援策が対象
向いている人 回収計画を確定させたい/余剰が少ない/手間をかけたくない 余剰が多い/変動を許容できる/環境価値や補助金を活かしたい 事業用の発電設備を運用する法人・事業者

 

「固定単価」は電気代高騰局面でも本当に得か

結論:FIT後半6年の8.3円/kWhは市場平均に明確に負けていますが、FIT前半4年の24円/kWhは現在の市場水準を上回っています。「固定が損」でも「変動が得」でもなく、期間によって答えが入れ替わるというのが正確な理解です。

 

ここが、この記事の核心です。数字を並べてみましょう。

 

JEPXスポット市場の年度平均システムプライスは、2025年度が約11.06円/kWh、2026年度が約15.81円/kWh。前年比でおおむね+46%という上昇です。

 

さらに2026年7月の月平均は約17.91円/kWh、7月下旬から8月上旬にかけての2週間平均は約21.62円/kWhに達しました(電力市場データ各種)。

 

燃料費、需給のひっ迫、猛暑による冷房需要——複数の要因が重なった結果です。

 

この水準と、2026年度FITの単価を突き合わせると、次のことが見えてきます。

 

  • FIT 5〜10年目の8.3円/kWhは、市場平均(約15.81円)の約半分。市場連動なら受け取れたはずの単価を、固定契約によって受け取れない状態が6年間続きます
  • FIT 1〜4年目の24円/kWhは、市場平均どころか真夏のピーク時期の2週間平均(約21.62円)すら上回る。この4年間に限れば、固定のほうが有利な可能性が高い水準です
  • ただし市場価格は上下します。春・秋の低需要期や、快晴で太陽光の発電が集中する昼間の時間帯には、1〜数円/kWhまで下がることが実際にあります。太陽光の余剰電力が最も出るのはまさにその昼間なので、この下振れは「たまにある例外」ではなく、構造的に付き合う対象です

 

つまり「FITは損」と一刀両断するのは行き過ぎで、正しくは「FITは前半に厚く、後半に薄い設計になっており、後半部分が市場水準から取り残されつつある」ということです。

 

そして電気代の上昇が今後も続くなら、この後半6年の取り残され方は、時間とともに広がっていく可能性があります。

 

FITの固定単価24円・8.3円とJEPX市場価格の推移を比較したグラフ
区分 単価水準の目安 変動 補足
FIT 1〜4年目(2026年度・10kW未満) 24円/kWh 固定 初期投資支援スキーム。現在の市場平均を明確に上回る水準(資源エネルギー庁)
FIT 5〜10年目 8.3円/kWh 固定 市場平均を下回る局面が常態化しつつある(資源エネルギー庁)
JEPXスポット 2025年度平均 約11.06円/kWh 変動 年度平均システムプライス(電力市場データ)
JEPXスポット 2026年度平均 約15.81円/kWh 変動 前年比おおむね+46%(電力市場データ)
JEPXスポット 2026年7月 月平均 約17.91円/kWh 変動 猛暑・冷房需要による上昇局面(電力市場データ)
JEPXスポット 2026年7月下旬〜8月上旬(2週平均) 約21.62円/kWh 変動 ピーク局面の水準。FIT前半24円には届かない(電力市場データ)
春・秋の低需要期/快晴の昼間の時間帯 1〜数円/kWh 変動(下振れ) 太陽光の余剰が最も出る時間帯と重なりやすい。市場連動の最大の弱点
(参考)家庭の購入電力単価 30円/kWh超 プランによる FIT・非FITいずれの売電単価も下回る。自家消費の価値がここに現れる

 

※JEPX価格は変動し、時間帯・季節・エリアによって大きく上下します。表の数値は2026年時点の目安であり、将来の水準を保証するものではありません。実際の受取額は買取事業者のプラン(手数料・エリアプライスの扱い等)によっても変わります。

 

この表を眺めていただくと、もうひとつ重要なことに気づかれると思います。いちばん右下の「購入電力単価30円/kWh超」が、表のなかで突出して高いのです。

 

次の章は、この話です。

 

関連記事:【2026年最新】電気代高騰対策の完全ガイド

 

電気代が上がるほど、最初の答えは「売り方」ではなく「自家消費」

結論:買う電気は30円/kWh超、売る電気はFITでも非FITでも十数円以下。1kWhを売らずに自分で使うほうが、どの売電方式よりも確実に得です。売り方の議論は、自家消費して余った分の「出口」をどうするかという二番目の話にすぎません。

 

FITと非FITの比較に夢中になっていると、しばしば見落とされる大前提があります。それは、売電単価と購入単価には最初から2倍以上の開きがあるという事実です。

 

多くのご家庭の購入電力単価は30円/kWhを超えています。

 

それに対して、FIT後半なら8.3円、FIT前半でも24円、非FITの市場連動なら平均で十数円台。どの選択肢を取っても、売るより使うほうが1kWhあたりの価値は高いのです。

 

この関係は、電気代が上がるほど強まります。電気代が上がるということは、自家消費で「買わずに済ませた1kWh」の価値が自動的に上がるということだからです。

 

売電単価が上がるかどうかは市場次第ですが、自家消費の価値は、電気代が上がった瞬間に、確実に、何もしなくても上がります。

 

これはリスクを取らずに得られる、数少ない確実な利益です。

 

だからこそ蓄電池が効く

ただし、太陽光発電が電気を作るのは昼間です。

 

一方、多くの家庭で電気を最も使うのは朝と夜。この時間のズレがあるかぎり、自家消費率は頭打ちになります。

 

一般に、蓄電池のない住宅用太陽光の自家消費率は3割前後にとどまることが多く、残りの7割は余剰として系統に流れていきます。

 

ここに蓄電池を入れると、昼の余剰を夜に回せるようになり、自家消費率は大きく引き上げられます。

 

「8.3円で売っていた電気を、30円超で買わずに済む電気に変える」——これが蓄電池の経済的な正体です。

 

EV(電気自動車)を所有している場合も、V2H等を通じて同じ構造が働きます。

 

逆に言えば、蓄電池やEVで自家消費率を高めるほど、売る量そのものが減るため、FITか非FITかという選択が家計に与えるインパクトは小さくなります。

 

この点は後の章で詳しく扱います。

 

関連記事:蓄電池は”1.3倍”で選ぼう|10年後の劣化を見越した容量選び/卒FIT後の蓄電池設置は元が取れる?

 

買う電気30円超と売る電気の単価差から、自家消費が最優先であることを示す図解

住宅ローンの「固定 vs 変動」と、太陽光売電の「固定 vs 変動」は逆に考える

結論:固定と変動のどちらが有利かは、「自分が払う側か、受け取る側か」で反転します。金利上昇局面で住宅ローンを固定に寄せた方ほど、売電はむしろ変動が理にかなう可能性があります。

 

※これは投資判断の推奨ではなく、固定/変動という契約形態の捉え方を整理するための例えです。

 

市場連動には下振れリスクが残るため、最終判断はご自身のリスク許容度・資金余力に基づいて行ってください。

 

いま、多くのご家庭で「固定か変動か」という判断が同時に起きています。ひとつは住宅ローン。

 

もうひとつが、この記事のテーマである売電契約です。そして、この2つは同じ言葉を使っているのに、有利な向きが正反対になります。

 

住宅ローンでは、いま「変動から固定へ」が起きている

日本銀行は2026年6月に政策金利を1%程度へ引き上げました。

 

約31年ぶりの水準で、追加利上げの方針も維持されています。これを受けて住宅ローンは変動金利がじわりと上がり、固定金利も上昇しています。

 

2026年初の調査では、借り手の約7割弱が「借入額の減額」「返済期間の短縮」「固定への見直し」など、何らかの行動を変えたという結果が出ています(各種報道・調査)。

 

この動きの理屈はシンプルです。

 

住宅ローンにおいて、あなたはお金を払う側です。

 

金利(=支払コスト)が上がる局面では、固定にしておけば総返済額の上振れを防げます。固定=守りという構図です。

 

売電では、あなたは「受け取る側」に立っている

ところが、太陽光の売電はまったく逆の立場です。あなたは電力価値の対価を受け取る側にいます。

 

電力価値(=燃料費、需給ひっ迫、インフレ)が上がる局面で、受け取る側が固定契約を結んでいると、上昇した価値を受け取れないまま契約期間を過ごすことになります。

 

逆に変動(市場連動)にしておけば、上がった価値をそのまま収入に取り込めます。

 

この文脈では、変動=攻めであり、同時に電気代インフレに対するヘッジにもなります。

 

ヘッジという言葉を補足すると、こういうことです。電気代が上がって家計が苦しくなる局面では、同時にJEPX価格も上がっていることが多い。

 

つまり「買う電気が高くなる痛み」と「売る電気が高くなる恩恵」が同じ方向に動いて、部分的に相殺し合う。

 

固定契約だと、痛みだけを受けて恩恵は受け取れません。

 

整理すると、こうなります。

 

  • 住宅ローン(払う側):コストが上がる局面 → 固定が守りになる
  • 売電(受け取る側):価値が上がる局面 → 変動が攻めになる
  • したがって、金利上昇を見てローンを固定に動かした人ほど、同じ「上昇するインフレ」を見ているのだから、売電では変動が理にかなう可能性がある——という逆張りの整理ができます

 

ただし、この例えには限界がある

正直に限界も書きます。住宅ローンの固定金利は「上がらない」ことが確定しますが、売電の変動は「上がる」ことが確定するわけではありません。

 

市場価格が下がれば、変動は素直に下がります。

 

春秋の低需要期に1〜数円/kWhまで沈む時間帯があるという事実は、この例えでは消せません。

 

したがって、この金利のアナロジーは「固定と変動という契約形態を、立場から捉え直すための思考の補助線」として使ってください。

 

「だから非FITが正解」という結論を導くものではありません。最終的な判断は、次の章の判断軸——余剰量、蓄電池・EVの有無、資金余力、リスク許容度——に落として考える必要があります。

 

住宅ローンの固定・変動と太陽光売電の固定・変動で有利不利が反転することを示す対比図

非FIT(市場連動)が向いている家/FITが向いている家

結論:判断を分けるのは「年間でどれだけ余剰電力が出るか」「その変動を許容できる資金余力があるか」の2点です。余剰が少ない家では、そもそもどちらを選んでも差は小さくなります。

 

ここまでの内容を、実際の判断に落とし込みます。

 

非FIT(市場連動)が向いている家

  • 余剰電力が多く出る家:パネル容量が大きい、少人数世帯で日中の在宅が少ない、屋根条件が良いなど。売る量が多いほど、単価差が金額差として効いてきます
  • 資金余力があり、回収計画がFITの固定収入に依存していない家:初期費用を抑えられている、あるいは自己資金比率が高く、多少の変動で家計が揺らがない
  • 電気代インフレに対するヘッジを重視する方:買う電気が高くなる痛みを、売る電気の上昇で部分的に相殺したい
  • 環境価値を自分で持ちたい方:非化石価値が手元に残り、証書化の選択肢もあります
  • お住まいの自治体に非FIT向けの補助金がある方:非FITであることを条件とした補助金(例:7万円/kW前後など、金額・要件は自治体により異なります)が使える場合、初期費用の差がそのまま判断を動かします

 

FITが向いている家

  • 回収計画を確定させたい家:住宅ローンと並行しており、収入のブレを家計に持ち込みたくない
  • 余剰が少ない家:蓄電池・EVで自家消費率が高い、家族人数が多く日中も電気を使う、パネル容量が控えめ。売る量が少なければ、単価差の影響も小さくなります
  • 手間をかけたくない方:非FITは買取事業者を自分で選び、契約する必要があります。制度に乗れば自動的に決まるFITのほうが、意思決定の負担は軽くなります
  • 導入初期に確実な収入が欲しい方:2026年度FITの前半4年24円/kWhは、現在の市場水準を上回ります。初期の資金繰りを重視するなら、この4年間の厚みは実利です

 

チェック項目 FIT(固定)が向く 非FIT(市場連動)が向く
年間の余剰電力量 少ない(差が出にくいので手間の軽いほうを選ぶ) 多い(単価差が金額差として大きく効く)
蓄電池・EVの有無 導入済みで自家消費率が高い(売る量が少ない) 未導入または容量が小さく、昼の余剰がそのまま系統へ出る
資金余力・回収計画 売電収入を回収計画に組み込んでおり、ブレると困る 初期費用を抑えられており、固定収入に依存しなくても回収が成立する
リスク許容度 毎月の収入が上下することにストレスを感じる 年間トータルで見られる。下振れの月があっても許容できる
非FIT向け補助金の有無 お住まいの自治体に該当制度がない 非FITを条件とする補助金があり、初期費用を圧縮できる
環境価値の活用意向 特にこだわらない(FITでは国に帰属) 自宅の再エネの環境価値を自分で持ちたい・証書化に関心がある
手間のかけ方 制度に乗せて自動で決めたい 買取事業者を比較・選定し、必要なら乗り換える手間を許容できる
導入初期の資金繰り 最初の4年間に確実な収入が欲しい(24円/kWhの厚み) 初期の収入が多少ブレても、10年トータルで判断できる

 

チェックの結果、FIT寄りと非FIT寄りが混在したという方も多いはずです。

 

それは判断が甘いのではなく、この選択が本来そういう性質のものだからです。

 

そして混在したときに効いてくるのが、次の章で扱う「そもそも余剰がどれだけ出る設計になっているか」という視点です。

 

「うちはどちらが得か」を、実際の数字で確認しませんか

 

上のチェックリストは、ご自宅の屋根条件・電気使用量・生活スタイルに当てはめて初めて答えが出ます。ENCでは無料でご相談を承っています。

 

・ご自宅の屋根に載る容量と、年間の発電量・余剰電力量のシミュレーション
・FIT(24円→8.3円)で10年運用した場合と、市場連動で運用した場合の収支比較
・蓄電池・EVを組み合わせた場合に、余剰がどこまで減り、判断がどう変わるか
・お住まいの地域で使える補助金(非FIT条件のものを含む)のご案内
・他社見積書の内訳チェック(kW単価・kWh単価が相場のどこに位置するか)

 

卸売商社の視点——売り方の前に「容量設計」で差がつく

結論:FITと非FITの損得の「大きさ」を決めているのは、売り方そのものではなく、余剰電力がどれだけ出るかという容量設計です。そして初期費用を卸売価格で抑えられれば、FITの固定収入に頼らずに回収計画が立ち、非FITという選択肢の自由度そのものが上がります。

 

ここからは、太陽光発電・蓄電池の卸売専門商社として全国の施工店・販売店と直接取引しているENCの視点から、比較サイトにはあまり書かれていない話を3つお伝えします。

 

1. 余剰率が低い家では、そもそも売り方の差は小さい

単価差の話は、当然ながら「売る量」を掛け算して初めて金額になります。

 

年間の余剰が少ない家では、8.3円と15円の差も、年額にすればわずかな違いにしかなりません。

 

逆に、大容量パネル・少人数世帯・日中不在といった条件が重なって余剰が多く出る家では、同じ単価差が毎年数万円規模の違いになります。

 

つまり「FITか非FITか」を真剣に悩む価値があるのは、余剰が多く出る設計になっている家です。

 

そして余剰が多く出るかどうかは、パネル容量と蓄電池・EVの組み方——つまり導入時の容量設計でほぼ決まります。

 

売り方は後から選ぶものですが、余剰量は最初の設計で決まってしまう。順序としては、こちらが先です。

 

2. 初期費用を抑えられれば、非FITという選択肢の自由度が上がる

非FITを選びにくい最大の理由は、回収計画がFITの固定収入に依存していることです。

 

「10年でこれだけ売電収入があるから回収できる」という計算で導入を決めた場合、その収入がブレると計画そのものが揺らぎます。

 

逆に言えば、初期費用が下がれば下がるほど、固定収入への依存度は下がり、変動を許容できる余地が生まれます。

 

同じ設備を50万円安く導入できれば、その50万円は「市場価格が下振れしても計画が崩れないバッファ」として機能します。売り方の自由度は、実は導入価格が作っているのです。

 

3. なぜ卸売商社は価格を下げられるのか——値引きではなく仕入れ構造

ここは誠実にお伝えしたい点です。ENCが競争力のある価格を提示できる理由は、値引きではなく流通構造にあります。

 

太陽光発電システムの価格には、メーカーから最終施工店に届くまでに何段の中間業者が入るかが、そのまま上乗せされています。

 

訪問販売系のルートでは、この段数が多くなりがちです。

 

ENCはメーカー・大型代理店から直接仕入れ、まとめ発注によって単価を下げることで、この中間マージンの段数を圧縮しています。

 

安さの根拠は企業努力の精神論ではなく、単に流通経路が短いことです。

 

だからこそ、なぜその価格になるのかを説明できますし、無理な値引きによる品質の犠牲も起きません。

 

また、全国の施工店・販売店との取引実績があるため、地域ごとの補助金の実態——非FITを条件とする制度がどの地域にあり、申請にどんなノウハウが要るのか——についても、比較的具体的な情報を持っています。

 

非FIT向け補助金は金額が大きい場合があり、これが取れるかどうかで初期費用が変わり、結果として売り方の判断まで変わります。

 

ENCは全国No.1の太陽光発電・蓄電池 卸売商社を目指しており、地域による価格差・選択肢の差をなくしていくことを事業の軸に据えています。

 

関連記事:【2026年最新】太陽光発電の相場価格はいくら?

 

余剰電力量による損得の差と、卸売商社の流通構造によるコストメリットを示す図解

よくある質問(FAQ)

Q1. FIPは家庭でも選べますか?

原則として選べません。FIPは基本的に事業用(10kW以上等)を対象とした制度であり、住宅用10kW未満の設備が直接FIPを選ぶことはできないのが現状です。「変動型に興味がある」という方がFIPの記事を読んで検討されるケースは非常に多いのですが、家庭が実際に選べる変動型は、非FITの市場連動買取プランのほうです。FIPは「市場連動という考え方の事業用版」として理解しておけば十分で、家庭の判断としてはFITか非FITかの二択になります。

 

Q2. 非FITにすると、売電先が突然なくなることはありませんか?

FITのような国による買取義務がない以上、買取事業者の事業継続リスクはゼロではありません。ただし、売電先がなくなっても発電設備が使えなくなるわけではなく、別の買取事業者へ乗り換えることができます。むしろ非FITは「売電先を自分で選べる」制度であり、条件の良い事業者へ移る自由がある点が、裏返せば強みでもあります。契約時には、契約期間・解約条件・手数料の扱い・単価の算定方法(エリアプライス連動かシステムプライス連動か等)を必ず確認してください。

 

Q3. 今FITで契約して、あとから非FITへ変更できますか?

制度上、FIT認定を辞退して非FITへ移行すること自体は可能ですが、手続きが必要で、一度辞退したFIT認定を元に戻すことは基本的にできません。また、FITの前半4年に24円/kWhを受け取ったうえで後半に非FITへ移る、といった運用が実際にどこまで有利かは、その時点の市場水準・買取事業者の条件次第です。ですから「とりあえずFITにして、あとで考える」という判断は、選択肢を残すという意味では悪くありませんが、移行が自動でも無料でもないことは前提としてお持ちください。導入時点で余剰量を試算し、方向性を決めておくほうが確実です。

 

Q4. 市場連動は、結局ギャンブルではありませんか?

「上振れも下振れもある」という意味では変動リスクを取る選択ですが、ギャンブルとは性質が異なります。ギャンブルは期待値がマイナスに設計されていますが、市場連動買取は電力という実需のある商品の価格に、実際の発電量を掛けて受け取る仕組みです。また、電気代が上がる局面では市場価格も上がりやすいため、家計の支出増と売電収入増が同じ方向に動いて部分的に相殺するという、ヘッジとしての性質もあります。とはいえ、春秋の低需要期に単価が沈む時間帯が実際に存在することは事実です。「読めない」ことを許容できるかどうかが判断の分かれ目であり、許容できないなら迷わずFITを選ぶべきです。

 

Q5. 電気代の高騰はいつまで続きますか?

断定できる方はいません。JEPXスポットの年度平均システムプライスは2025年度の約11.06円/kWhから2026年度の約15.81円/kWhへ、おおむね+46%上昇しました(電力市場データ)。燃料価格、為替、需給バランス、政策など複数の要因が絡むため、この傾向が続くとも、反転するとも言い切れません。だからこそ、将来予測に賭けない設計が重要です。具体的には、①電気代が上がっても下がっても確実に得になる「自家消費の最大化」を先に固める、②そのうえで余った分の出口として、自分のリスク許容度に合う売り方を選ぶ——という順序です。この順序で組めば、相場観が外れても致命傷にはなりません。

 

Q6. 結局どちらが得か、一言で言うとどうなりますか?

一言で言えば、「余剰が多く出る家で、初期費用を抑えられていて、変動を許容できるなら非FIT。それ以外は素直にFIT」です。2026年度FITは前半4年24円/kWhと手厚い一方、後半6年8.3円/kWhは市場平均(約15.81円/kWh)に明確に負けています。この後半6年の差をどう見るかが実質的な争点で、その差の大きさは売る量=余剰電力量で決まります。ただし、どちらを選んでも購入電力単価30円/kWh超には及びませんから、まず取り組むべきは自家消費の最大化です。

 

まとめ|”固定か変動か”の前に、自宅の余剰量を数字にする

ここまでの内容を整理します。

 

まず用語です。家庭(10kW未満)が実際に選べるのはFITか非FIT(市場連動買取)の二択で、FIPは原則として事業用の制度です。

 

ここを混同したまま比較しても、答えは出ません。

 

次に数字です。2026年度FITは前半4年24円/kWh、後半6年8.3円/kWhの10年固定(資源エネルギー庁)。

 

一方、JEPXスポットの2026年度平均は約15.81円/kWhで、真夏には2週間平均で約21.62円/kWhに達しました(電力市場データ)。

 

FIT後半は市場平均に負け、FIT前半は市場平均に勝つ。

 

「固定は損」でも「変動は得」でもなく、期間で答えが入れ替わるというのが正確な理解です。

 

そして市場連動には、春秋の低需要期に1〜数円/kWhまで沈む下振れが現実に存在します。

 

そして考え方です。住宅ローンは払う側だから金利上昇局面では固定が守りになり、売電は受け取る側だから電力価値の上昇局面では変動が攻めになる。

 

同じ「固定と変動」でも、立場によって有利不利は反転します。

 

金利上昇を見てローンを固定に寄せた方ほど、売電では変動が理にかなう可能性がある——ただしこれは投資助言ではなく、契約形態を捉え直すための思考の補助線にすぎません。

 

市場の不確実性は消えませんから、最終判断はリスク許容度・自家消費率・資金余力に委ねられます。

 

そのうえで最も大切なことを繰り返します。

 

購入電力単価は30円/kWh超で、どの売電単価よりも高い。

 

だから経済合理性の第一は自家消費の最大化であり、FITか非FITかは「自家消費して余った分の出口」の話です。

 

そしてその出口の重要度は、余剰がどれだけ出るかで決まり、余剰量はパネル容量と蓄電池・EVの組み方——つまり導入時の容量設計で決まってしまいます。

 

ですから、順序はこうなります。

 

①自宅の年間発電量と自家消費量を試算し、②余剰が年間何kWh出るのかを数字にし、③その数字を見てから、固定と変動のどちらが自分に合うかを判断する。

 

この順序を踏めば、「なんとなく不安だから固定」でも「なんとなく得しそうだから変動」でもない、根拠のある選択ができます。

 

ENCは太陽光発電・蓄電池の卸売専門商社として、メーカー・大型代理店からの直接仕入れとまとめ発注により流通の段数を圧縮し、全国の施工店・販売店へ製品を供給しています。

 

だからこそ、屋根条件から逆算した容量設計と、その設計で余剰が何kWh出るのかという数字を、価格の根拠とセットでご提示できます。

 

初期費用を抑えられれば、FITの固定収入に依存しない回収計画が立ち、非FITという選択肢の自由度そのものが上がります。

 

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「まだ検討を始めたばかりで、FITと非FITのどちらが自分に合うのか見当もつかない」という段階でも構いません。

 

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