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【初心者必見】太陽光発電のFIP制度とは?メリット・デメリットも解説!

2025.01.13

FIP制度

再生可能エネルギーのさらなる普及を目指し、2022年4月よりFIP制度がスタートしました。

 

ただ、FIP制度ってどんな制度なのか分からない方も多いのではないでしょうか。

 

✅本記事の内容

  • FIP制度とは?基本の「き」から理解しよう
  • 太陽光発電におけるFIP制度の対象条件
  • FIP制度を導入する3つのメリット
  • FIP制度を導入する3つのデメリット
  • FIP制度の申請方法と必要な書類
  • FIP制度を理解して制度活用を検討しよう

 

本記事の信頼性

・現役の某太陽電池メーカーの営業マン「スポンジ」が監修(営業キャリア10年以上)

・営業実績は、住宅用太陽光発電を200棟/月を販売継続(3年以上)

 

本記事では、FIP制度が始まった背景や目的、メリット・デメリットなどを分かりやすく解説します。

 

FIP制度について理解できるようになり、FIP制度はこれから太陽光発電を設置される方の新しい選択肢になります。

 

FIP制度とは?基本の「き」から理解しよう

FIP制度とは?

 

まずは、FIP制度が始まった背景や仕組みをお伝えします。

 

1.FIP制度導入の背景

 

FIP制度とは「Feed-in Premium」の略称で、再生可能エネルギーの普及を進めるために2022年4月から始まった制度です。

 

2012年に導入されたFIT制度(固定買取価格制度)のおかげで、日本の再生可能エネルギーの電源構成比は導入前の10.4%(2011年度)から21.7%(2022年度)へ増加しました。

 

経済産業省は2030年までに再エネの構成比を36~38%にすることを目標にしているため、さらに普及拡大させる必要があります。

 

しかし、電気代に上乗せされる「再エネ賦課金」が再生可能エネルギーの普及に比例して値上がりし、国民への負担が増加し、FIT制度だけで再エネ比率を高めていくことは難しいのが実情です。

 

再エネ普及による再エネ賦課金の値上げ

 

実際に、2024年度の再エネ賦課金は年間で約2兆6,897億円にのぼっており、今後さらに負担増になることが問題視されています。

 

ちなみに、FIT制度が始まった2012年から再エネ賦課金の推移は下記のように上がっております。

 

2024年度の再エネ賦課金は3.49円/kWhなので、4人家族の平均的な1ヵ月の使用電力量である400kWh~600kWhで1,396円~2,094円を電力会社に払っているということです。

 

また、工場やオフィスビル等はさらに多くの電気を使用しているため、再エネ賦課金も無視できない金額になっております。

 

再エネ賦課金の推移

 

また、再生可能エネルギーを主力のエネルギーにしていくためには、「電力の供給と需要のバランス」を考慮していく必要があります。

 

FIT以降で爆発的に太陽光発電は普及しましたが、発電量の多い夏場に太陽光発電の発電を抑制する出力制御が増えています。

 

太陽光発電による電気を無駄にすることがないように電力市場への統合を図り、再生可能エネルギーを自立させなければいけません。

 

そういった背景から、2020年6月にFIP制度の導入が決まり、2022年4月より開始されました。

 

2.FIP制度の仕組み

 

では、FIP制度とはどういった仕組みなのか見ていきましょう。

 

FIP制度は、電力市場価格にプレミアム(補助額)を上乗せする制度です。

 

プレミアム単価は、基準価額-参照価格から算定します。

 

FIP価格の仕組み

引用:資源エネルギー庁HPより

 

「基準価格」とは、FIT単価と同じです。

 

もう少し細かく言うと、再エネで発電される電力が効率的に供給される場合に必要とする費用を基盤として、価格目標その他の事情を踏まえて設定される価格です。

 

「参照価格」とは、卸電力市場などでの市場取引から期待される収入のことです。

 

卸電力市場や非化石価値取引市場の価格と連動して算定された上で機械的に決定された価格から、バランシングコストを差し引いたものが参照価格となります。

 

参照価格は1ヶ月ごとに見直しがされるため、自動的にプレミア厶単価も変動します。

 

このようにFIP制度では電力市場価格に加え、プレミアムを受け取って収益を得ることができるのです。

 

3.FIPとFITの違い

 

つぎに、FIP制度とFIT制度の違いを解説します。

 

大きな違いは、「電力の買取価格と買取先が固定であるか変動であるか」です。

 

一定の価格で電力会社に売電するFIT制度に対し、変動する市場価格にプレミアムを乗せて売り先を探す必要があるのがFIP制度です。

 

FIP制度とFIT制度の違い

FIP制度では、市場価格が高い時(つまり電気が足りない時)に電気を売ることができればFIT単価よりも高い単価で売ることができます。

 

一般的には、太陽光発電が発電する昼間は市場価格が安い時であるため、太陽光発電で発電した電気を蓄電池にためて、市場価格が高い夕方などに売ることで収益性が上げられます。

 

国としては、FIP制度を通して市場価格が高い時に電気が供給されれば全体的に市場価格を落とすことができて、電力市場の安定化に繋がる狙いがあります。

 

 

下記は2025年度の太陽光発電(10kW以上)のFIT調達価格・FIP基準価格となります。

 

10kW以上の太陽光発電の2024年度以降の売電単価

 

引用:経済産業省HPより

 

2025年度の10kW以上の屋根設置の太陽光発電では、FIT調達価格もFIP調達価格も11.5円/kWhで売電期間はともに20年間です。

 

太陽光発電を市場価格に合わせながら運用できる事業者はFIPがお得になり、市場価格に合わせられない事業者はFIT制度を選択する形になります。

 

太陽光発電におけるFIP制度の対象条件

太陽光発電におけるFIP制度の対象条件

 

つぎに、太陽光発電のFIP制度の対象条件をお伝えします。

 

まず、10kW未満の太陽光発電はFIP制度の対象とされておりません。

 

基本的には50kW以上の容量がFIP制度の対象となりますが、10kW~50kWの発電所でも下記のいずれかの条件を満たす場合はFIPでの申請が可能です。

 

①電気事業法上の発電事業者であること

 

②直接の契約関係に基づき、電気事業法の小売電気事業者・登録特定送配電事業者・特定卸供給事業者に供給していること

 

また、FIT制度で売電期間が終了する太陽光発電システムでも、FIP制度に移行することで政府からの支援を受け続けることが可能です。

 

FIP制度を導入する3つのメリット

FIP制度を導入する3つのメリット

つぎに、FIP制度を導入する3つのメリットを解説します。

 

  • 収益の増加が期待できる
  • 売電先を自由に選ぶことができる
  • プレミアム(供給促進交付金)による安定性

 

それではひとつずつ詳しく見ていきましょう。

 

1.収益の増加が期待できる

 

1つ目に、収益の増加が期待できるところです。

 

FIP制度は変動する市場価格にプレミアムを上乗せして売電できる制度です。

 

電力の需要が高い時に市場価格も高くなりますが、そのタイミングで売電できれば収入も多く得ることができます。

 

FIP制度で収益を増加させるには、蓄電池を取り入れることがおすすめです。

 

FIP制度の収益イメージ

 

市場価格の低い時間帯には売電せず蓄電池に貯めておき、市場価格が上がったタイミングで売電すれば、より多くの収益を得ることが可能になります。

 

2.売電先を自由に選ぶことができる

 

2つ目に、売電先を自由に選ぶことができるところです。

 

卸電力取引市場での取引だけでなく、小売電気事業者と直接契約を結んで相対取引したり、アグリゲーターを仲介して売電することも可能になります。

 

FIP制度のビジネスモデル

引用:経済産業省HPより

 

アグリゲーターとは、英語で集約するという意味の「aggregate」からきた言葉で、発電事業者と卸電力取引市場や小売電気事業者の間に入り、需要と供給のバランスを調整する役割を果たしてくれます。

 

小売電気事業者やアグリゲーターとの相対契約することで、売電収入とプレミアムの組み合わせを操作し、リスクと収益の機会を分散することが可能です。

 

3.プレミアム(供給促進交付金)による安定性

 

3つ目に、プレミアム(供給促進交付金)による安定性を得られるところです。

 

FIP制度は変動する市場価格にプレミアムを上乗せして売電する制度のため、市場価格が下落している時でもプレミアムである程度の収益を確保することができます。

 

ただし当年度に単月で 電力市場 の単価が高騰した場合には、 参照価格 が高くなりプレミアムが0円になってしまうこともあります。

 

その場合、市場価格でしか売電収入を得られなくなるため、需要と供給のバランスを見極める必要があるでしょう。

 

FIP制度を導入する3つのデメリット

FIP制度を導入する3つのデメリット

つぎに、FIP制度を導入する3つのデメリットを解説します。

 

  • 収益が不安定
  • 追加コストが発生する可能性がある
  • 事務作業の増加

 

それではひとつずつ詳しく見ていきましょう。

 

1.収益が不安定

 

1つ目に、収益が不安定なところです。

 

市場変動によって売電価格も変動するFIP制度では、長期的な収益の予測が難しくなってしまいます。

 

市場の状況によっては、売電収入が低くなる可能性もあります。

 

長期的に収益を出し続けるためには定期的に市場価格の動向を確認し、市場価格の高いときに売電する仕組み作りが重要です。

 

2.追加コストが発生する可能性がある

 

2つ目に、追加コストが発生する可能性があるところです。

 

FIP制度では「計画値同時同量制度」が課せられるため、発電量の「計画値」と「実績値」を一致させる必要があります。(バランシング)

 

計画値と実績値を一致させることをインバランスといいますが、差ができてしまった場合、ペナルティとして差額を支払わなければいけません。

 

 

FIP制度の追加コスト

 

ただ、インバランスにかかるコストは「バランシングコスト」としてプレミアム単価に上乗せして配慮されるようになっております。

 

計画値と実績値とのバランスを調整するには経験が必要になるため、国としてはバランシングコストとして2022年度は1.0円/kWhと高い金額を設定されているということです。

 

バランシングコストは2022年度の1.0円/kWhから、2023年度は0.95円/kWh、2024年度は0.9円/kWh、2025年度は0.8円/kWh、2026年度は0.7円/kWhと下がっていく形になります。

 

その間に事業者は、インバランスするための感覚を養っていく必要があるということです。

 

3.事務作業の増加

 

3つ目に、事務作業が増加するところです。

 

インバランスのための人員コストなどの支出もあるため、収益の計算が複雑となります。

 

またFIP制度では「計画値同時同量制度」があるため、前日の正午までに発電販売計画を作成し、OCCTO(電力広域的運営推進機関)に提出しなければなりません。

 

収益の増加というメリットがある反面、こういった手間が増えるデメリットがあることも覚えておきましょう。

 

FIP制度の申請方法と必要な書類

FIP制度の申請方法と必要な書類

1.申請の流れ

 

・FITからFIPへの移行

 

FIP移行申請手続き→FIP移行認定申請登録→認定申請書の発行→申請情報確定→発電量調整供給契約の開始日の登録→移行前の設備の廃止の流れで申請します。

 

詳細は再生可能エネルギー電子申請(FIP移行認定申請)より確認してみてください。

 

・新規設備

 

認定申請登録のため、事業者、設備、太陽電池、系統接続に係る事項、事業実施工程、保守点検責任者などの情報が必要になります。

 

詳細は再生可能エネルギー電子申請(FIP認定申請)より確認してみてください。

 

2.準備すべき書類

 

申込システムからの申請において、下記の書類が必要となりますので準備しておくようにしましょう。

 

  • 印鑑証明書
  • 住民票の写し
  • 住民票記載事項証明書
  • 戸籍謄本または戸籍抄本
  • 認定申請書
  • 保守点検及び維持管理計画(新規設備)

 

そのほかにも申請内容によっては必要な書類があるため、詳細は1.申請の流れからのリンクにて確認してみてください。

 

FIP制度を理解して制度活用を検討しよう

FIP制度 まとめ

本記事ではFIP制度とは何か、メリット・デメリットを合わせてお伝えしました。

 

FIP制度は変動する市場価格に、プレミアムを上乗せして売電収入を得る制度です。

 

改めてメリット・デメリットを確認しておきましょう。

 

FIP制度を導入する3つのメリット

 

  • 収益の増加が期待できる
  • 売電先を自由に選ぶことができる
  • プレミアム(供給促進交付金)による安定性

 

FIP制度を導入する3つのデメリット

 

  • 収益が不安定
  • 追加コストが発生する可能性がある
  • 事務作業の増加

 

FIP制度は市場価格の変動により、収益が不安定というリスクがありますが、インバランスをうまく管理して市場価格の高い時に売電すれば、多くの収益を得ることができます。

 

基本的には、FIP制度の活用となると自社だけで完結できるようなものではなく、関係各社が協力して事業性を高めていく形です。

 

今後の再エネ普及のためにはFITではなく、FIP活用が必須になってきます。

 

収益を増加させたいという方は、FIP制度の基本とメリット・デメリットを理解しておき、制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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