【太陽光発電の基礎知識】初心者にもわかりやすく解説!
2024.06.03
目次
電気代の高騰が続くなか、「太陽光発電に興味があるけどよくわからないから不安」という方も多いのではないでしょうか?
✅本記事の内容
- 太陽光発電とは?
- 太陽光発電の仕組み
- 太陽光発電の5つのメリット
- 太陽光発電の4つのデメリット
- 太陽光発電を設置するなら売電?自家消費
✅本記事の信頼性
・現役の某太陽電池メーカーの営業マンが監修(営業キャリア10年以上)
・営業実績は、住宅用太陽光発電を200棟/月を販売継続(2年以上)
太陽光発電の仕組み、5つのメリットと4つのデメリット、どれくらいお得な生活が送れるのかが理解できるようになります。
太陽光発電とは?わかりやすく解説
まず、太陽光発電とは何なのかから見ていきましょう。
太陽光発電とは、太陽光パネルに太陽光があたると電気が生まれる発電方法です。
二酸化炭素を排出しない環境にやさしい再生可能エネルギーとして注目され、1990年代より家庭用でも設置されるようになりました。
ただ、当時は太陽光発電はかなり高価なものだったため、研究者や物好きの方が購入をされている程度でした。
2008年頃から日本でも太陽光発電に対する補助金や2012年からの国による再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)をきっかけに爆発的に普及が進みました。
太陽光発電は元々は高く売電ができる投資商品として普及が進みましたが、今では電気代の節電や環境商材として、世界中の多くの方が注目している商品に変わりました。
今後も脱炭素や電気の自給自足の観点で、太陽光発電は生活の必需品になると予想されています。
【太陽光発電の仕組み】
◆なぜ太陽の光で発電するの?
太陽光パネルは「N型半導体」と「P型半導体」を重ね合わせて作られています。
太陽光パネルに光が当たるとN型半導体にはマイナスの電子、P型半導体にはプラスの正孔(せいこう)が集まり、作られた電子を導線でつなぐと電気が流れます。
◆必要な機器
太陽光パネルだけでは発電した電気を家庭で使うことはできません。
太陽光により発電した電気は直流であるため、家庭でも使用できるように交流に変換しなくてはならないからです。
太陽光発電システムの構成として必要な機器を紹介します。
太陽光パネル
太陽の光が当たると直流の電気がつくられます。
太陽電池とも言いますが、電気を貯めることはできません。
パワーコンディショナ
太陽光パネルで作られた直流の電気を、家庭内で使える交流の電気へ変換します。
停電時には自立運転機能に切り替えることで、電気を使うことが可能です。
接続箱
太陽光パネルで発電した電気をひとつにまとめ、パワーコンディショナーへ送ります。
分電盤
太陽光発電システム専用の分電盤が必要です。
パワーコンディショナで変換された交流の電気を、家庭内のコンセントへ分配します。
分電盤は太陽光によって発電した電気の漏電を防ぐ役割もあり、通常の家庭にある分電盤とは機能が異なることが特徴です。
似たような名前の「配電盤」がありますが、機能は大きく異なり、配電盤は主に大きな建物に設置されます。
◆パネルの種類
太陽光パネルの種類は原料によって「シリコン系」「化合物系」「有機系」に分類され、素材によって変換効率や特長が異なります。
変換効率とは、パネルが受けた光エネルギーがどのくらい電気エネルギーに変換されたかを表す数値で、現在主流の太陽光パネルの変換効率は約15%〜20%です。
カナディアンソーラーやハンファといった太陽光パネルメーカーは、変換効率20%を超えるパネルを製造しています。
近年では両面から発電可能なパネルの普及も進んでおり、片面のみのパネルより発電量アップが望めます。
①シリコン系
現在最も流通している太陽光パネルがシリコン系です。
その中でも従来まではP型半導体を基盤にしたP型パネルが主流でしたが、変換効率の向上に限界が近づいていました。
そこで研究が進められたのがN型半導体を基盤にしたN型パネルです。
P型パネルに比べ高い変換効率で弱い光でも発電が可能・高温でも発電量が低下しにくいという特長のため、今後はN型パネルが主流になっていきます。
・単結晶シリコン
変換効率が高く、変換する際のエネルギーロスが少ないので設置容量が低くても発電量は期待できます。
高性能なためコストが高くなる点と、高温になると変換効率が低下してしまうことがデメリットです。
・多結晶シリコン
単結晶シリコンより変換効率は落ちますが、その分価格も抑えられます。
低コストなため、広い面積を活用する産業用などに適しています。
・アモルファスシリコン
アモルファスシリコンは薄い膜の形状をした非結晶系のシリコンです。
軽量で加工がしやすいため低コストで大量生産が可能。
結晶系よりも変換効率が落ちますが、高温でも低下しないのがメリットです。
・ヘテロ接合型シリコン(HIT)
単結晶シリコンとアモルファスシリコンを組み合わせており、「変換効率のよさ」と「高温に強い」というメリットを持ち合わせたハイブリッド型です。
ただし高価な単結晶を使用、製造過程が複雑なためより高コストとなってしまいます。
②化合物系
・CIS(CIGS)
銅CISは銅(Cu)・インジウム(In)・セレン(Se)の3元素を組み合わせてできたパネルです。
CIGSはこれらにガリウム(Ga)を加えたもの。もともとの変換効率は低めですが劣化による低下率は少なく、低コストで生産できます。
・GaAs
ガリウム(Ga)とヒ素(As)を原料としたパネルで、変換効率は約40%と圧倒的な性能の高さです。
それゆえコストも高く、現在は人工衛星など特殊な用途でしか使用されていません。
・CdTe
テルル化カドミウムを原料としたパネルです。
変換効率もよくコストパフォーマンスが高いですが、カドミウムが有害物質となるため日本では製造が禁止されています。
③有機系
・色素増感
酸化チタンを吸着した色素が光を吸収し、電気に変えるパネルです。
低コストで大量生産でき、色素を変えることでさまざまな色のパネルが製造可能です。
現在では研究段階にあり、実用には至っておりません。
・有機薄膜
P型とN型の有機半導体を混ぜて溶かした液体を塗布・印刷して製造するパネル。軽量で曲げることが可能ですが、その反面耐久性が課題です。
こちらも研究段階で、実用には至っておりません。
・ペロブスカイト型
ペロブスカイトという結晶構造を原料としたパネルで、塗布によって製造できるため低コストで量産可能です。
変換効率もよく薄く軽量で柔らかいため、これまで設置できなかった場所にも取り付けることができます。
今後普及が期待される太陽電池で、課題となる寿命の短さや耐久性の向上が研究されています。
【太陽光発電システムを設置する5つのメリット】
太陽光発電システムを設置すると得られる5つのメリットを解説します。
- 電気代の削減
- 売電収入を得る
- 災害時・停電時でも電力供給が可能
- 蓄電池を設置することで節電効果が高まる
- 環境に配慮した発電方法
①電気代の削減
1つ目が、電気代の削減ができる点です。
発電した電気を家庭内で使用できるため電力会社から電気を買う必要がなくなり、電気代を節約することができます。
太陽光発電の設置容量1kWあたり年間約1,100kWh発電されるため、設置容量×1,100kWh分の電気代が節約可能です。
オール電化住宅にお住まいの方は年間で7,200kWh、電気ガス併用の住宅にお住まいの方は年間で4,800kWhの電気を平均的に使用されます。
つまり、オール電化住宅の方であれば7kWの太陽光発電、電気ガス併用の住宅の方であれば5kWの太陽光発電が設置できれば電気代を大幅に削減できるということです。
ただし注意点として、太陽光発電は太陽が照っている朝方から夕方までの発電になるため、夜間で使う電気は電力会社から購入する必要があるため、太陽光発電だけでは電気の自給自足はできません。
各ご家庭の生活スタイルにもよりますが、一般的には太陽光発電で発電した電気量の3割を家庭内で使われて、残り7割は電力会社に売電されるケースが多いです。
いずれにしても、電力会社から購入する電気は年々値上げが続いているため、太陽光発電を設置すれば電気代の削減ができるため、多くの方が太陽光発電を設置し始めています。
②売電収入を得る
2つ目が、売電収入が得られる点です。
太陽光で発電した電気が余った場合、電力会社へ売ることで売電収入が得られます。
売電単価は、国の制度である「固定価格買取制度(FIT)」によって決められ、10kW未満の住宅用太陽光発電システムでは10年間一定の金額で売電できる仕組みです。
令和6年度に太陽光発電を設置する場合は、1kWh当たり16円/kWhで電力会社に売電できます。
例えば、日本の屋根に設置できる太陽光発電の平均容量は4kWと言われております。
4kWの太陽光発電で年間で発電する電気量は、4,400kWhです。
その内、7割が売電されると仮定すれば49,280円(3,080kWh×16円/kWh)が年間で得られる売電収入ということになります。
電気代の削減だけでなく、余った電気で収入が得られる点も大きなメリットです。
③災害時・停電時でも電力の供給が可能
3つ目が、停電時でも電気が使える点です。
地震や台風等による停電時でも、太陽が出ていればパワーコンディショナを自立運転に切り替えることで電気を使うことができます。
一般的には、パワーコンディショナ1台当たり1,500Wの電気を使うことが可能です。
屋内用パワーコンディショナであればパワーコンディショナ自体に自立運転時に使えるコンセント差し込み口があります。
一方で、屋外用パワーコンディショナであればパワーコンディショナ自体にコンセントはないため、停電時用の自立運転コンセントの取付工事をしてもらえれば停電時でも電気が使えます。
ただし自立運転では、太陽が出ている間しか使えない、かつ曇りや雨の場合は1,500Wの発電もしない場合もあるため、電子レンジやドライヤーなどの消費電力の高い電気機器を使うのはオススメできません。
あくまでも、スマホの充電やテレビなど消費電力の小さい機器を使うようにしましょう。
④蓄電池を設置することで節電効果が高まる
4つ目が、蓄電池を設置することで自家消費率が高まり電気代を大幅に削減できる点です。
太陽光発電システムとあわせて蓄電池を導入すると、余った電気を売電せずに蓄電池に貯めて、夜間や停電時に使うことができます。
また、一般的に住宅用太陽光発電システムの自家消費率は3割程度といわれていますが、蓄電池を導入することにより5割以上に引き上げられます。
自家消費率が高いほど電力会社から電気を買う必要がないため、電気代の節約にも繋がります。
⑤環境に配慮した発電方法
5つ目が、太陽光発電は環境に配慮した発電方法である点です。
太陽光発電は地球環境に優しい発電方法です。
火力発電のように化石燃料を燃焼させないため、二酸化炭素などの有害物質を排出しません。
また、水力発電や地熱発電など他の再生可能エネルギーと比べ、身近な場所に設置することが可能で、設置コストや導入までの期間の短さもメリットです。
世界をはじめ日本でも脱炭素への環境意識が高まり長期的なCO2削減目標が掲げられておりますが、太陽光発電を設置することで微力ながら環境に貢献することができます。
【太陽光発電システムを設置する4つのデメリット】
太陽光発電システムを設置するにあたり、気を付けるべき4つのデメリットと解消法を解説します。
- 設置費用が高い
- 定期メンテナンスが必要
- 天候によって発電量が左右される
- 光害
①設置費用が高い
1つ目が、設置費用が高い点です。
太陽光発電システムの設置には、高額な費用がかかってしまいます。
経済産業省のデータによると、2024年度のシステム費用は平均25.5万円/kWです。
つまり、4kWの太陽光発電を設置する場合は、工事費込みで102万円かかるということです。
金額だけ聞くと高く感じますが、太陽光発電は20年以上も発電をし続ける機器になるため長期的に見ると確実に元が取れてお得な機器になります。
それでもいきなり100万円以上の費用を出せる方は少ないと思いますので、各自治体の太陽光発電補助金を利用して初期費用を軽減したり、相場価格(25.5万円/kW)よりも安く販売してくれる販売店を探してみましょう。
補助金の利用や初期費用を安くしたい方は当社ENCにご相談お願い致します。
お客様の電気使用状況や屋根の条件を見て、ベストな太陽光発電をご提案いたします。
②定期メンテナンスが必要
2つ目が、定期メンテナンスが必要な点です。
太陽光発電システムには定期的なメンテナンスが必要で、設置から1年後、そのあとは4年に1度以上の点検が推奨されています。
定期点検は、太陽電池やパワーコンディショナの目視点検だけでなく電気的な点検も必要になるため、お客様単独では国が推奨する点検項目を全て満たすことはできません。
そのため、専門業者に依頼する場合は、1回当たり50,000円程度の点検費用がかかります。
メンテナンスを怠ると故障や漏電などトラブルの原因になるだけでなく、機器の破損やパネルの汚れによる発電量の低下に気づけないケースもあります。
太陽光発電を長く使い続けたい方は、定期点検を忘れずに実施しましょう。
③天候によって発電量が左右される
3つ目が、天候によって発電量が左右される点です。
太陽光発電は太陽の光を受けて発電するため、天候によって発電量が左右されます。
天候だけでなく住んでいる地域や季節による日照時間の変化、気温の高すぎる日には発電効率が低下してしまいます。
発電量や年間収支を設置業者にシミュレーションしてもらうことで、予測することが可能です。
具体的に、自分の家に太陽光発電を設置した場合の年間発電量や経済効果を確認されたい方は、当社ENCにお気軽にご相談ください。
④光害
4つ目が、太陽光発電の反射光による光害がある点です。
太陽光発電による一番大きな近隣クレームは、反射光によるクレームになります。
太陽光パネルは北面の屋根に設置してしまうと、反射光によるまぶしさや熱さで近隣トラブルに繋がる恐れがあります。
北面は他の方角に比べて発電量も少ないです。
具体的には、真南に太陽電池を設置する場合を100%とすれば、真北に太陽電池を設置する場合は60%程度しか発電はしません。
全体の設置容量が少ない、近隣に住宅がない等の事情がない限りは設置を避けることをオススメします。
【太陽光発電システムを設置するなら売電(FIT)?自家消費?】
次に、太陽光発電を設置するなら売電をするのか、自家消費をするのかどちらがオススメなのか見ていきましょう。
結論からお伝えすると、現在は自家消費をするほうが経済的メリットが大きいです。
なぜならFIT制度による売電単価(2024年度は16円/kW)は年々下落しており、逆に電力会社からの電気料金単価(2024年度は平均30円/kWh程度)が上昇をしているためになります。
つまり、太陽光発電で発電した電気を余らせて16円/kWhで売電してしまうとモッタイナイということです。
今後も電気代の値上げは続いていく傾向にあるため、太陽光発電の設置はもちろんのこと、蓄電池も合わせて購入される方も増えてきております。
下記の理由から電気代は値上げを続けています。
・燃料価格の高騰
・国による電気代軽減策の終了
・再エネ賦課金の値上げ
東日本大震災をきっかけに原子力発電から火力発電にメイン電源をシフトした日本にとっては、化石燃料の高騰は電気代値上げに直結してしまいます。
日本のエネルギーの7割近くは火力発電に頼っているのが現状です。
火力発電を動かすための石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料価格はロシアウクライナ戦争をきっかけに高騰しました。
大幅に電気代が高騰したため、国による電気代の軽減策が2024年5月使用分までは3.5円/kWhの値引きが実施されておりましたが、その軽減策も終わります。
また、2024年4月から再生可能エネルギー発電促進賦課金も1.4円/kWh⇒3.49円/kWhに値上げとなったので電気代は2024年になってから大幅に上昇しているのが実情です。
つまり、2024年6月以降では少なくとも国の軽減策の3.5円/kWhが無くなることと再エネ賦課金の2.09円/kWhが値上げになります。
具体的には、1ヶ月400kWh電気を使用するご家庭では、2,236円(5.59円/kWh×400kWh)が毎月値上げになるということです。
国は、電気代軽減策などを駆使して電気代が値上げになっていることを国民にわかりにくいように敢えてしております。
実際は、少しずつ電気代は値上げになっており、今後も電気代が安くなる見通しはありませんので、電力会社から電気を買わない生活をするために太陽光発電は前向きに検討することをオススメします。
【太陽光発電の仕組みをわかりやすく(まとめ)】
本記事では、太陽光発電とは何か?のテーマで太陽光発電の仕組みやメリットデメリットについてお伝えしました。
太陽光発電は太陽のエネルギーを使って持続可能な電気を作ります。
改めて、太陽光発電のメリット・デメリットを確認しておきましょう。
✅メリット
- 電気代の削減
- 売電収入を得る
- 災害時・停電時でも電力供給が可能
- 蓄電池を設置することで節電効果が高まる
- 環境に配慮した発電方法
✅デメリット
- 設置費用が高い
- 定期メンテナンスが必要
- 天候によって発電量が左右される
- 光害
太陽光発電は、仕組みやメリットを理解し、デメリットを解消して設置すれば地球にも経済的にもやさしい発電方法です。
今後も電気代は値上げが続くと予想されますので、まずは自宅の屋根に太陽光発電が設置できるのかを含めて相談することをオススメします。
太陽光発電を設置したくても設置できない家も1割程度は存在します。
太陽光発電を設置して、快適な生活を手に入れましょう。