販売店必見!住宅用太陽光発電の申請手続き完全ガイド
2025.05.25

目次
住宅用太陽光発電の設置をするにあたって、具体的にどのような手続きが必要で、何に注意をすればよいのかわかりにくいですよね。
実際に、「余剰売電をする場合」と「完全自家消費をする場合」でも申請の流れは異なります。
✅本記事の内容
- 太陽光発電の設置に申請が必要な理由
- 10kW未満の太陽光発電を設置するための申請の流れ(余剰売電をする場合)
- 10kW未満の太陽光発電を設置するための申請の流れ(完全自家消費※非FITの場合)
- 太陽光発電の申請に必要な書類一式
- 2025年度は太陽光発電申請の期日に注意を
- 【まとめ】10kW未満の太陽光発電申請の流れ
✅本記事の信頼性
・現役の某太陽電池メーカーの営業マン「スポンジ」が監修(営業キャリア10年以上)
・営業実績は、住宅用太陽光発電200棟/月を販売継続(3年以上)
住宅用太陽光発電を早く設置したくても、申請に時間がかかってすぐに使えないというトラブルも多いです。
この記事を見てもらえれば、住宅用太陽光発電の申請の流れや必要書類が何なのか、また太陽光発電の申請にあたっての注意事項が理解できるようになります。
太陽光発電の設置に申請が必要な理由
「太陽光発電って設置するだけじゃダメなの?」と思っている方、実はちょっと注意が必要です。
発電設備は建物に設置するだけでなく、各種申請や確認が必要なんです。
理由は大きく3つあります。
- 安全性の確保のため
- 自治体の規制があるため
- 売電制度(FIT)の利用のため
屋根の強度や景観条例の有無、売電単価の取得期限など、確認ポイントは多岐に渡ります。
また、申請を怠ったことで罰則を受けたり、接続費用が想定外に高くなったりすることもあります。
この記事では、それぞれのポイントをわかりやすく整理してご紹介します。
安全性を確保する必要性があるため
太陽光パネルの設置には「屋根に乗るかどうか」よりも大事なことがあります。
それが「安全性の確認」です。
具体的には、設置場所の耐震性や風圧への耐性、周辺住居への反射光の影響の有無などをチェックする必要があります。
また、電力会社の送配電網に接続する際は、電圧や周波数への影響を調べるための系統連系の申請が必須です。
送電容量が不足している地域では、送電線の増強工事に数十万~数百万円の費用がかかるケースもあります。
こうした事前確認を怠ると、想定外の出費や設置不可といった事態にもつながるため、事前の安全確認はとても重要です。
自治体によって規制があるため
意外と知られていませんが、自治体によっては太陽光発電の設置に制限があるケースがあります。
代表例が「景観条例」です。
たとえば京都市や岡山県倉敷市では、パネルの色味や屋根からの見え方が街の景観を損ねないように細かくルールが決まっています。
軒カバーの取り付けが求められる場合や、設置前に写真や色見本の提出が必要なこともあります。
自分の家が対象エリアかどうかは自治体の都市計画課などで確認できるので、設置前に必ずチェックしましょう。
届出が必要なのに申請していないと、後から撤去を求められることもあるので要注意です。
国のFIT制度を利用するため
太陽光発電を導入して「売電」まで考えているなら、国の「FIT制度(固定価格買取制度)」の利用が前提となります。
この制度は、発電した電気を一定価格で長期間買い取ってもらえるもので、多くの家庭が導入の後押しとして活用しています。
ただし、FITを利用するには「事業計画認定」が必要です。
経済産業省への申請を通じて、設備内容や設置場所、出力規模などの書類を提出しなければなりません。
この申請を行わずに売電を始めることはできず、タイミングを逃すと当年の買取価格が適用されない可能性もあります。
しっかりと計画を立てて早めに申請を進めることが大切です。
10kW未満の太陽光発電を設置するための申請の流れ(余剰売電をする場合)
「太陽光の設置って、どれくらい時間がかかるの?」という声は多いです。
実際のところ、余剰売電をする場合には準備から運転開始までに約4~6ヶ月かかるのが一般的です。
設置前には屋根の状態や電気設備、日照条件の調査、設計といった事前準備が必要になります。
その後、施工業者との契約、自治体への届出、補助金の申請、電力会社への連系申請、FIT制度の認定などを経て、ようやく工事・完了検査・連系確認へと進みます。
それぞれの段階で必要な書類や手続きがあるため、スケジュールを組んで余裕を持って動くのがコツです。
太陽光発電の申請前の事前準備
まず行うべきは「事前準備」です。
これを丁寧に行うことで、後の手続きや工事がスムーズになります。
主な準備内容は4つです。
- 1つ目は「屋根の状態確認」
設置可能な面積、傾斜角度、耐荷重などを調べます。
- 2つ目は「電気設備の確認」
分電盤の容量や電気配線の経路などのチェックを行います。
- 3つ目は「日照条件の評価」
建物の周囲に影を落とす木や建物がないかを確認します。
- 4つ目は「基本設計の作成」
パネル配置や年間発電量の予測などをまとめます。
この準備だけでも1~2週間程度かかるため、設置計画のスタート時点から取り組んでおくと安心です。
販売施工店との契約
事前調査が終わったら、いよいよ販売施工店との契約です。
この契約を結ぶことで、以降の申請や工事スケジュールの管理は施工業者が代行してくれるケースが多く、手続きがぐっと楽になります。
契約時には、費用の総額や支払いタイミング、工事期間、補償内容などをしっかり確認しましょう。
また、補助金申請の経験がある施工店かどうかも重要なチェックポイントです。
信頼できる施工業者を選ぶことが、スムーズな設置とトラブル防止のカギになりますので、複数社から見積もりをとって比較検討するのがおすすめです。
地方自治体への届出
設置場所によっては、自治体への届出や許可が必要なケースがあります。
特に景観条例区域や防火・防災区域、歴史的建造物周辺などでは、設置内容に制限があったり、事前審査を受ける必要があったりします。
届出が不要な地域もありますが、「うちは対象外だから大丈夫」と思い込まず、事前に自治体の担当窓口や施工業者に確認することが大切です。
万が一届出を怠ると、工事後に撤去指導が入ることもあるため、後悔しないよう丁寧に対応しましょう。
施工業者が代行してくれる場合でも、自宅がどの区域にあるのかを自分で把握しておくと安心です。
補助金申請(該当する場合)
太陽光発電の設置費用を少しでも軽くしたいなら、「補助金」の活用は見逃せません。
国や自治体によって制度は異なりますが、数万円~十数万円の支援が受けられるケースが多くあります。
ただし、ここで注意したいのが「申請のタイミング」です。
ほとんどの補助金は「工事を始める前の申請」が多いです。
つまり、着工してからではもう遅いんです。
また、補助金の対象条件や必要書類は制度ごとに細かく違うので、必ず事前に確認しておくことが大切になります。
「全国の各自治体の太陽光発電補助金のまとめ」でも補助金情報を紹介してますので、合わせてチェックしてみてください。
施工業者が代行してくれる場合も多いので、不安な方はぜひ相談してみてください。
電力会社への系統連系申込み
発電した電気を売るためには、電力会社の送電網に接続する「系統連系」の手続きが必要です。
電力会社に申請を出すと、設備の仕様や地域の電力状況をもとに、接続が可能かどうかの審査が行われます。
ここで見落とせないのが「送電容量の不足」です。
地域によってはすでに容量がいっぱいで、送電線の改修が必要になることもあります。
この費用が数十万~数百万円と高額になるケースもあるため、事前確認が欠かせません。
送電容量や接続条件はエリアによって異なるため、「この地域で太陽光発電が接続できるのか?」を早めに電力会社または施工店に確認しておくのが安心です。
FIT(固定価格買取制度)認定申請
FIT(固定価格買取制度)は、発電した電気を一定価格で買い取ってもらえる制度で、売電収入を見込む方には欠かせない仕組みです。
ただし、この制度を利用するには、経済産業省の「事業計画認定」が必要になります。
設備IDの取得、設置条件、出力、契約情報などの情報を提出する必要があります。
申請から認定までに時間がかかることもあるので、設置スケジュールを考えるなら“早めの申請”が鉄則です。
認定がなければ売電が開始できず、最悪の場合はその年の買取単価が適用されないケースもあります。
工事完了後の手続き
太陽光発電の設置が終わっても、まだ終わりではありません。
ここからは「完了確認」のフェーズに入ります。
まずは施工業者による自主検査です。
その後、電力会社の立ち合いによる検査・確認が行われます。
問題がなければ、電力量計の取り付けや最終的な接続確認が行われ、正式に売電開始となります。
特にFITを利用している場合は、設備IDの最終確認や買取開始の申請もこのタイミングで進める必要があります。
スムーズに売電をスタートさせるためにも、施工業者とスケジュールを事前にすり合わせ、抜け漏れがないよう準備しておきましょう。
10kW未満の太陽光発電を設置するための申請の流れ(完全自家消費※非FITの場合)
「発電した電気はすべて自宅で使いたい」という方に人気なのが、「完全自家消費型(非FIT)」の太陽光発電です。
FITでの売電をしない分、手続きも少なく、FIT申請が不要になるのが大きなポイントです。
申請フローは余剰売電のものと途中までは同じですが、FIT申請がまるっと省略できるため、設置までの期間も短縮されます。
平均で3ヶ月ほどでスタートできるケースが多いです。
また、最近では非FIT型の太陽光に対する補助金制度を新設する自治体も増えており、初期費用を抑える選択肢として注目されています。
非FITについて、詳しく内容を知りたい方は「【要点解説】住宅用太陽光発電の非FITの仕組みとENEMAKASEの活用方法」を覗いてみてください。
太陽光発電の申請に必要な書類一覧
太陽光発電の設置には、想像以上に多くの書類が必要です。
「よくある手続きミスの原因=書類不備」といっても過言ではありません。
ここでは、住宅用太陽光発電で一般的に必要となる書類を、わかりやすく整理してご紹介します。
【設置工事に関する書類】
- 設計図面(配置図・立面図・配線図)
- 使用機器の仕様書(太陽光パネル、パワコンなど)
- 工事請負契約書・見積書
【行政・電力会社への提出書類】
- 系統連系申請書(電力会社提出用)
- 接続契約書・電力受給契約申込書
- FIT事業計画認定申請書(売電を行う場合)
【補助金を申請する場合】
- 補助金交付申請書
- 機器の証明書類(型式、保証期間など)
- 写真資料(施工前後、屋根設置状況など)
【景観・防災に関する書類(該当エリアの場合)】
- 景観計画届出書
- 外観図、色見本、周辺写真
【工事完了後】
- 電力受給契約申込書
- 事業開始の届出書
- 補助事業実績報告書
これらの書類は施工業者がサポートしてくれることがほとんどですが、内容を把握しておくことで確認や申請がスムーズになります。
必要書類はエリアや補助制度によって若干異なるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
2025年度は太陽光発電申請の期日に注意を
2026年にはFIT制度の大幅な見直しが予定されております。
それに先駆けて2025年度の申請は変則的になっており、実際に2025年度のFIT単価(15円/kWh 10年間)の電力会社の申請期日は終了しました。
つまり、今からFITで申請する場合は新単価(1年目~4年目は24円/kWh、5年目~10年目は8.3円/kWh)でのFIT申請となります。
新単価で売電権利を獲得する場合でも、各電力会社の締め切りは2025年10月~11月になるため、新単価のFIT単価で売電を予定する方も早めの計画が必要です。
また、FIT2026制度への切替について詳しく知りたい方は「【最新版】2026年にFIT制度が変わる?太陽光発電のこれからの選択肢」の記事を覗いてみてください。
【まとめ】10kW未満の太陽光発電申請の流れ
今回は、住宅用太陽光発電の申請手続きについてご紹介しました。
10kW未満の太陽光発電の導入は、一見シンプルに見えても、実は複数の申請や確認手続きが関係してきます。
余剰売電を前提とする場合、FITや補助金申請、電力会社との系統連系などが必要となり、設置までに平均で4~6ヶ月ほどはかかります。
一方、非FITの完全自家消費型であれば、手続きが少なく、補助金対象も広がっているため、約3ヶ月での設置が可能です。
どちらを選ぶにせよ、太陽光発電は「申請ありき」の設備です。
「すぐ設置できる」と思っていると予定が狂うこともあるので、早めに計画し、施工業者としっかりスケジュールを共有することがスムーズな導入のコツになります。