【売電収入が10%上がる?】リパワリングとは何なのか徹底解説
2024.06.16
目次
低圧用、高圧用太陽光発電を持たれている方は、パワーコンディショナの寿命を見越してパワーコンディショナの「リパワリング」か「リプレイス」が必要になります。
太陽光発電を20年間元気に発電し続けるためには、遅かれ早かれパワーコンディショナの交換は必要になりますが、リパワリングが良いのか、リプレイスが良いのかわかりにくいですよね。
本記事では、そんなお悩みにお答えします。
✅本記事の内容
- リパワリングとは?
- リパワリングとリプレイスの違い
- リパワリングが必要な2つの理由
- リパワリングの3つのメリット
- リパワリングの3つのデメリット
- リパワリングで得られる売電収入
✅本記事の信頼性
・現役の某太陽電池メーカーの営業マンが監修(営業キャリア10年以上)
・営業実績は、住宅用太陽光発電を200棟/月を販売継続(2年以上)
本記事を読んでもらえれば、リパワリングとリプレイスの違いやリパワリングのメリットデメリット、リパワリングをすることでどれくらいの売電収入のupが見込めるのかが理解できるようになります。
リパワリングとは?
それでは、そもそもリパワリングが何なのか見ていきましょう。
リパワリングとは、既設の経年劣化をした太陽光発電に対して新しい製品に交換して発電量を増加させることを言います。
具体的には、太陽電池やパワーコンディショナが経年劣化する商品になるため、その太陽電池やパワーコンディショナを交換して発電量向上を目指すということです。
ただ、太陽電池のリパワリングは、経済的メリットがないとされています。
理由は、下記3つ挙げられます。
- 劣化率は10年でも5%~8%程度のため
- 太陽電池の寿命は、20年以上のため
- 既設の太陽電池と同じサイズの太陽電池がなく、取付架台の変更も必要になり工事費が高いため
つまり、太陽電池は経年劣化はするものの寿命が20年以上持つためFIT(売電)期間中に寿命を向かえることがないということです。
また、当時の太陽電池サイズでかつ、変換効率が高い太陽電池がないことにより工事費が高くなるので現実的ではありません。
一般的には、パワーコンディショナのリパワリングをされる方が多くなっておりますので、パワーコンディショナのリパワリングに絞ってお伝えしていきます。
リパワリングとリプレイスの違い
次に、リパワリングとリプレイスの違いを見ていきましょう。
リプレイスとは、既設のパワーコンディショナの寿命を見越して同じパワーコンディショナに交換することを言います。
太陽光発電の発電量向上が目的ではなくて、太陽光発電の継続的な発電のために必ず必要な内容ということです。
ただ、セントラル型のパワーコンディショナで太陽光発電をお持ちの方にトラブルが続出しています。
- セントラル型のパワーコンディショナは、1台100kW~1,000kWなどの大型パワーコンディショナのこと
- 分散型のパワーコンディショナは、1台5.5kW~25kWなどの小型パワーコンディショナのこと
主に、高圧用太陽光発電では250kWなどのセントラル型パワーコンディショナで設置されている発電所が多いです。
セントラル型のパワーコンディショナでトラブルが発生している理由は、セントラル型のパワーコンディショナメーカーが製造を中止したり、減産しているためです。
全量売電で多くのパワーコンディショナが売れていた時代から今は大きく変わり、セントラル型パワーコンディショナメーカーが売れなくなったことが製造中止や減産の理由になっています。
パワーコンディショナをリプレイスしようと思ってもリプレイスできない発電所が出てきているということです。
リパワリングが必要な2つの理由
リパワリングが必要な理由としては、2点あげられます。
- 機会損失を避けるため
- 発電所の安全性の高い運営を行うため
リパワリングをするにあたって必要な機器は、性能の高いパワーコンディショナと太陽電池1枚1枚に設置するオプティマイザになります。
性能の高いパワーコンディショナは、太陽電池で発電した直流電力を交流電力に変換する効率が高いということです。
オプティマイザは、1枚ずつの太陽電池の発電量を最も高くなるように調整してくれる役割があります。
機会損失を避けるため
太陽電池にオプティマイザを付けることで、太陽電池に影がかかっていたり、どこかの太陽電池の発電量が低くなっていても発電所全体としては高い発電量が期待できます。
一般的な太陽光発電システムでは、太陽電池を8~12直列のように複数枚つなげてパワーコンディショナに接続します。
8~12直列のどこかの太陽電池に影がかかったり、発電量の低い太陽電池があると8~12直列全体の発電量が低下するため、気づかない間に発電量が下がっている可能性が高いということです。
オプティマイザを付けていれば、1枚1枚の太陽電池の発電量を管理しているので、影がかかったり発電量の低い太陽電池に引っ張られて発電量が下がるようなことは起こりません。
小さな発電量ロスでも毎日、毎月、毎年と重ねていけば大きな発電量の差(つまり売電金額の差)に繋がるため、機会損失を避けるためリパワリングが必要ということです。
発電所の安全性の高い運営を行うため
低圧や高圧太陽光発電の定期点検やメンテナンス、周囲環境への配慮など昔と比べると多くの規制を国が設けています。
無造作に作られる太陽光発電が多かったのが大きな理由ですが、太陽光発電は安全に運営していくことが国からも求められているということです。
万が一、地震や津波等の災害が発生すると太陽光発電所の火災が発生して2次災害が起きてしまいます。
低圧や高圧太陽光発電は、大きな電流や電圧がかかっており、一般人が簡単に立ち入りして作業はできません。
オプティマイザを設置していれば、万が一災害が発生した場合(異常を検知した場合)は太陽電池の電圧を1Vまで下げてくれる機能があるため、安全対策も万全です。
日本は他国と比べて自然災害が多い国のため、いつ起こるかわからない災害への対策としてリパワリングが必要ということです。
リパワリングの3つのメリット
次に、リパワリングの3つのメリットを見ていきましょう。
- 発電量と売電金額UPが見込める
- メンテナンスが容易
- 発電所の売却時に高値で売れる
メリット①:発電量と売電金額upが見込める
1つ目のメリットが、発電量と売電金額UPが見込める点です。
前述したように、変換効率の高いパワーコンディショナとオプティマイザをつけることで発電所全体の発電量が増えます。
影がかかっていたり、太陽電池1枚1枚の発電量の差が大きい発電所では、10%程度の発電量UPも期待できます。
もちろん、影の影響がない発電所であったとしても太陽電池1枚1枚の性能は異なるため5%程度の発電量UPは可能です。
メリット②:メンテナンスが容易
2つ目のメリットが、メンテナンスが容易な点です。
オプティマイザを太陽電池1枚ずつに設置することで、太陽電池1枚ずつのリアルタイムの発電量をパソコンやスマホから確認することができます。
太陽光発電が健全に発電をしているのか遠方からでも確認ができるため、万が一発電していない太陽電池があったとしても早期に発見ができるメリットがあります。
最近では、太陽光発電のメンテナンス会社もリパワリングの効果を実感される企業が増えてきており、低圧や高圧発電所のリパワリングを実施してメンテナンスが容易になったという声もあがってきています。
メリット③:発電所の売却時に高値で売れる
3つ目のメリットが、発電所の売却時に高値で売れる点です。
太陽光発電を売却する際に最も重要なデータとしては、発電所の発電実績になります。
つまり、どれくらいの売電収入が得られる発電所なのかが重要ということです。
単純に過去の発電実績だけではなくて、パワーコンディショナをリプレイスしているのか、リパワリングしているのかによっても大きく発電所の価値は異なります。
リプレイスしていることも大きな加点になりますが、リパワリングをしていれば発電所としての発電量や安全面での信頼性に繋がり高値で売却が可能です。
リパワリングの3つのデメリット
次に、リパワリングの3つのデメリットを見ていきましょう。
- 機器交換及び工事費用が高い
- 工事期間がリプレイスよりも長い
- FITの残期間によっては経済効果は低くなる
デメリット①:機器交換及び工事費用が高い
1つ目のデメリットが、機器交換及び工事費用が高い点です。
リプレイスをする場合は、今設置済みのパワコンと同じ性能のパワコンに取り換えるだけで工事は終わります。
つまり、太陽電池の直並列を変更する手間がかからないので、工事費はパワコンの取り換え費くらいです。
リパワリングをする場合は、直並列の組み換えをする場合と少なくとも太陽電池にオプティマイザを取り付けする必要があるため、工事費は高くついてしまいます。
デメリット②:工事期間がリプレイスよりも長い
2つ目が、工事期間がリプレイスよりも長い点です。
リプレイスやリパワリングの工事をする間は、太陽光発電の発電はストップさせます。
つまり、工事期間中は太陽光発電の売電収入が得られないため、工事期間はなるべく短い方が売電収入を得られない期間を短くできます。
リパワリングの工事は、リプレイスよりも長くなってしまうため一時的に売電収入が少なくなってしまうことは理解しておきましょう。
デメリット③:FITの残期間によっては経済効果は低くなる
3つ目が、FITの残期間によっては経済効果は低くなる点です。
例えば、FIT期間(売電期間)が残り5年程度でリパワリングを実施したところで、経済効果が出ません。
リパワリングでかかる費用を残りFIT期間5年で回収できるほどの発電量(売電量)UPが見込めないからです。
リパワリングでメイン機種である、ソーラーエッジ社製のパワコンやオプティマイザの保証期間は15年程度になります。
つまり、少なくとも残りの売電期間が10年以上あることがリパワリングを実施する条件とも言えます。
リパワリングで得られる売電収入
次に、リパワリングで得られる売電収入がどれくらい増えるのか具体的なソーラーエッジのシミュレーションソフトで確認してみましょう。
- 影がある発電所をリパワリング(FIT単価36円/kWh)
- 影がない発電所をリパワリング(FIT単価32円/kWh)
いずれもO社製のパワーコンディショナをソーラーエッジ製のパワーコンディショナ+オプティマイザにリパワリングした経済効果シミュレーションになります。
影がある発電所をリパワリング
まず、影がかかる発電所に対してリパワリングをする場合の経済効果シミュレーションです。
7年目にリパワリングを実施し、その7年目でも発電量は6,226kWh増加して売電収入は224,136円増えています。
また、14年間の合計の発電量は97,139kWh増加して、売電収入は3,497,004円UPです。
O社製のパワーコンディショナのまま20年間発電を継続した場合と比べて、ソーラーエッジ社製のパワーコンディショナでリパワリングをすれば10.74%の発電量UPが期待できるということになります。
影がかかる発電所であれば、早めにリパワリングをすることで大幅に売電収入が増えますので、リパワリングをすることはオススメです。
影がない発電所をリパワリング
次に、影がかからない発電所に対してリパワリングをする場合の経済効果シミュレーションです。
6年目にリパワリングを実施し、その6年目で発電量は5,865kWh増加して売電収入は187,680円増えています。
また、15年間の合計の発電量は102,833kWh増加して、売電収入は3,290,640円UPです。
O社製のパワーコンディショナのまま20年間発電を継続した場合と比べて、ソーラーエッジ社製のパワーコンディショナでリパワリングをすれば8.85%の発電量UPが期待できるということになります。
影がかからない発電所でも、早めにリパワリングをすることで大幅に売電収入が増えますので、リパワリングをすることはオススメです。
パワーコンディショナのリパワリングのまとめ
今回は、パワーコンディショナのリパワリングについてお伝えしました。
改めて、パワコンリパワリングのメリットデメリットのおさらいをしましょう。
✅リパワリングのメリット
- 発電量と売電金額UPが見込める
- メンテナンスが容易
- 発電所の売却時に高値で売れる
✅リパワリングのデメリット
- 機器交換及び工事費用が高い
- 工事期間がリプレイスよりも長い
- FITの残期間によっては経済効果は低くなる
太陽電池のリパワリングは、太陽電池の寿命が20年以上あることと同じサイズの太陽電池で発電効率の上がった太陽電池がないために工事費がかさむためにオススメしないこともお伝えしました。
パワーコンディショナのリパワリングは、影がかかる発電所や影がかからない発電所どちらでも経済的にお得になります。
ただし、FIT売電期間が10年を切っていれば投資回収が厳しいことは理解しておきましょう。
具体的に、自分が持っている発電所をリパワリングしてみたらどれくらいの費用がかかって、売電収入はどれくらいUPするのか気になる方は、当社ENCにお気軽にお問合せいただければと思います。
太陽光発電を安全に管理ができて、なによりも売電収入UPがリパワリングで見込めますので太陽光発電の売電開始をして5年目~10年目までの方は特にオススメです。
今よりも安全面でも収入面でも良い発電所に変えていきましょう。