【蓄電池の選び方7選】失敗しないためのコツを徹底解説
2024.07.28
卒FITを迎える方も増え、家庭用蓄電池を設置される方が増えてきております。
一方で、訪問販売会社から高額な蓄電池を買わされたり、設置したは良いものの思ったような節電効果が得られない等の不満を持つお客様がいるのも事実です。
✅本記事の内容
- 蓄電池の選び方で重要な3つの内容
- 蓄電池の失敗しない7つの選び方
✅本記事の信頼性
・現役の某太陽電池メーカーの営業マン「スポンジ」が監修(営業キャリア10年以上)
・営業実績は、住宅用太陽光発電を200棟/月を販売継続(2年以上)
家庭用蓄電池は種類や機種が多くてどの蓄電池が一番良いのかわかりにくいですよね。
本記事を読めば蓄電池の選び方を分かりやすく解説しているので、あなたにとってベストな蓄電池を選べるようになります。
蓄電池の選び方で重要な3つの内容
まず、家庭用蓄電池の選び方で重要な3つの内容を解説します。
✅家庭用蓄電池の選び方で重要な3つの内容
- 使用用途によって必要な蓄電池容量が変わる
- 相場価格を知らないと損をする
- 導入コストが回収できない
どの蓄電池を選ぶ場合でも前提知識を抑えておかなければ、選び方で失敗する可能性が高くなります。
後悔しないために、蓄電池の選び方で重要な3つの項目を抑えておきましょう。
①使用用途によって必要な蓄電池容量を把握する
まずは、使用用途によって必要な容量を把握することです。
災害時の非常用電源として蓄電池を選ぶのか、日常の節電効果を期待して蓄電池を選ぶのかによっても選ぶ蓄電池は変わってきます。
また、ご家庭で使用している電力量を知らないまま蓄電池を選んでしまうと、非常時に思ったほと電気が使えなかったり、平常時に思ったほど節電できなかったりする可能性があります。
いずれにしても、今どれくらいの電気を使っているのか、各家電がどれくらいの消費電力なのか把握することが一番重要です。
どれくらい電気を使っているのかは、毎月の電力会社からの請求書を確認してみてください。
各家電の目安の消費電力は下記の通りです。
仮に上記の8つの家電を1時間使い続けた場合にかかる消費電力は4,700Wh(4.7kWh)になります。
停電時にどんな機器を何時間使いたいのか、節電するためにはどんな機器の消費電力を太陽光発電や蓄電池で賄わなくてはいけないのかを理解することが重要です。
少し前までは、3kWh~5kWhの蓄電容量が小さい蓄電池が売れていましたが、使用用途を考えると物足りなさがあり今では7kWh~10kWhの蓄電池が売れ筋になってきています。
ご家庭で必要な容量を見極め、適切な容量の蓄電池を選びましょう。
②相場価格を知らないと損をする
2つ目が、蓄電池の相場価格を理解することです。
蓄電池の相場価格を知らないと、かなり損をしてしまう可能性があります。
三菱総合研究所のデータによると、2022年度の相場価格は11.7万円/kWhで、工事費用2.2万円/kWhをあわせると13.9万円/kWhとなります。
つまり、10kWhの容量の蓄電池を設置する相場価格は、おおよそ139万円ということになります。
2022年から半導体不足の影響もあって、蓄電池価格が少し高騰したので16万円/kWhが現状の相場価格と言えます。
容量が多い蓄電池や性能がいい蓄電池は相場価格よりも高くなる傾向がありますが、スペックと価格のバランスを考慮し、高すぎる価格で購入しないようにしましょう。
また、逆に相場価格より安すぎる価格にも注意しなければいけません。
工事の人件費や適切でない部材を使ってコストカットし、安く見えるようにしているからです。
質の悪い工事は施工不良のリスクを高めてしまいます。
③導入コストは回収できないため
3つ目が、導入コストは回収できないことです。
太陽光発電の導入コストは10年未満で回収できることは、「太陽光発電は本当にやばい?」でも解説しましたが、蓄電池の導入コストは10年では回収できません。
太陽光発電と比べて蓄電池の経済効果は薄く、蓄電池の導入コストの回収年数は15年程度です。
経済効果を意識されている方は必ず蓄電池による経済効果シミュレーションを行ってもらい、どれくらいで導入費用の回収ができるのか確認しておきましょう。
メーカーによって、発電量や年間で節約可能な電気料金を簡易的にシミュレーションできます。
下記はハンファジャパンの経済効果シミュレーションです。
【シミュレーション条件】
・システム容量:4kW
・京都府設置
・年間の発電電力量:4666kWh
・電気料金単価:35円/kWh
・売電単価:16円/kWh
・売電率:30%
このシミュレーションによると、売電金額¥22,397(4,666kWh×30%×16円/kWh)+節電金額¥114,317(4,666kWh×70%×35円/kWh)で、年間約¥136,714の経済効果があることが分かります。
契約されている電気料金メニューや普段の生活スタイル(昼に電気を使うのか、夜や朝方に電気を使うのか)によっても節電効果は変わってきます。
具体的にシミュレーションしたいという方は、当社ENCにお気軽にご相談ください。
蓄電池の失敗しない7つの選び方
それでは、実際に蓄電池を選ぶ際のポイントを7つ解説します。
✅7つの蓄電池の選び方
- 設置予定・設置済みの太陽光発電システム容量とのバランス
- 充放電のサイクル数
- 定格出力
- 蓄電池の種類・性能
- 保証内容
- 設置場所
- 優良な業者を選ぶ
具体的に、7つのポイントを詳しく見ていきましょう。
①設置予定・設置済の太陽光発電システム容量とのバランス
1つ目に、太陽光発電システム容量とのバランスです。
1日の発電量、消費電力量、余剰電力量から蓄電池容量を決めることをオススメします。
例えば、4kWの太陽光発電システムを設置済もしくは設置予定とします。
1kWあたり1日約3kWh発電するため、4kWの太陽光発電の1日の発電量は12kWhです。
12kWhの発電量の内、家庭内で使用する電気は30%程度が一般的なため、3kWhが家で使う電気使用量になります。
つまり、余った9kWhを貯められる蓄電池が最適な蓄電池容量です。
蓄電池容量が小さすぎると、蓄電池に満充電になった後は電力会社へ安い単価で売電してしまいます。
現在の売電単価は電気単価よりも安いため、売電することは経済的には効率が悪いです。
逆に、蓄池池容量が大きすぎると余剰電力で満充電ができません。
容量が大きいほど価格も高くなるため、費用対効果が悪くなります。
②充放電のサイクル数
2つ目に、充放電のサイクル数です。
「サイクル数」とは、蓄電池の電気残量が0%から100%まで充電し、100%から0%放電するまでのことを言います。
サイクル数=蓄電池の寿命と考えられることもできます。
サイクル数の目安は6,000〜12,000回が目安です。
6,000サイクルの蓄電池を1日1サイクルで使用した場合、寿命は約16年になります。
蓄電池を長く使いたい方は、サイクル数が多いものを選ぶようにしましょう。
※サイクル数について詳しく知りたい方は、蓄電池をわかりやすく解説!仕組みや家庭用蓄電池の種類まで基礎知識を理解するを覗いてみてください。
③定格出力
3つ目は蓄電池の定格出力です。
「定格出力」とは、一度に出力できる電力を表す数値です。
家電の消費電力が蓄電池の定格出力を超えてしまうと全ての機器は使用できません。
蓄電池の定格出力は小さいものだと2kWh程度、大きいもので6kWh程度になります。
6kWh程度あれば、上絵にあるような家電を同時に使用しても問題なく使える定格出力ということです。
一般的に消費電力の大きいエアコンやエコキュート、電子レンジなどの消費電力と購入予定の蓄電池の定格出力を照らしあわしてみることをオススメします。
④蓄電池の種類及び性能
4つ目は、蓄電池の種類及び性能です。
蓄電池の種類は2つ、蓄電池の性能は2つあります。
✅蓄電池の種類
- 単機能型
- ハイブリッド型
✅蓄電池の性能
- 特定負荷
- 全負荷
それぞれ具体的に何が違うのか見ていきましょう。
単機能型かハイブリッド型
・単機能型
太陽光発電システムと蓄電池にそれぞれパワコンが必要なシステムです。
太陽光発電を設置して5年未満くらいのお客様にはオススメの蓄電池が単機能型になります。
ただ蓄電池に貯められるのは直流の電気になるため、太陽光パネル(直流)→パネル用パワコン(交流)→蓄電池用パワコン(直流)とエネルギーの変換ロスは多くなってしまいます。
また、太陽光発電用と蓄電池用の2台分の設置スペースが必要です。
・ハイブリッド型
太陽光発電システムと蓄電池のパワコンが一体となったシステムです。
太陽光発電システムと蓄電池を同時に導入する方には、ハイブリッド型をおすすめします。
また、太陽光発電システムを設置して10年以上経った方は、パワコンの買い替え時にハイブリッド蓄電池を導入される方も少なくありません。
ハイブリッド型は、太陽光パネルから発電した直流の電気をそのまま蓄電池に貯められるので、変換ロスを最小限に抑えられます。
ただし、単機能型と比べると価格は高くなってしまいます。
特定負荷か全負荷
停電時に家の一部の家電だけ使える蓄電池を特定負荷蓄電池と言い、停電時に家全体の家電を使える蓄電池を全負荷蓄電池と言います。
・特定負荷
特定の部屋や家電のみに電気を供給するタイプです。
導入コストが安く、コンパクトなサイズのため設置スペースが確保しやすいのがメリットになります。
消費電力が少ないため長時間持ちますが、200V家電は使うことができません。
・全負荷
家全体に電気を供給するタイプです。
停電時でも、普段通りの生活ができます。
200V対応のため、エアコンなどの多くの電力を要する家電も使えます。
家全体に電気を供給しているため、使っていない家電でもコンセントに差しているだけで待機電力で電気を消耗してしまいます。
それぞれをよく比較し、ご家庭に合った性能の蓄電池を選びましょう。
⑤保証内容
5つ目が、保証内容です。
蓄電池の保証には、機器保証と容量保証があります。
蓄電池に貯められる電気の量は、経年劣化することは覚えておきましょう。
つまり、蓄電池に貯められる電気は年々少なくなるため、各メーカーが何年で何パーセントの残容量を保証しているかは重要な項目です。
・機器保証
蓄電池本体や周辺機器に対する保証です。
周辺機器が保証対象になるかどうかはメーカーごとに異なるため、何が対象になるかは確認することをオススメします。
一般的には、10年保証もしくは15年保証をかけているメーカーが多いです。
・容量保証
蓄電容量に対する保証です。
充電できる容量が一定の数値を下回ったときに、無償で交換や修理の対応を行ってもらえます。
10年もしくは15年経過時に、60%や50%の残容量を切るとメーカーによる修理及び交換が必要になります。
蓄電池は精密機器になるため、保証内容は必ず確認するようにしましょう。
⑥設置場所
6つ目は、蓄電池の設置場所です。
蓄電池は大きいサイズのものが多いため、設置スペースの確保が必要です。
屋内に設置するタイプか屋外に設置するタイプか確認し、購入前にどこに置くか検討しなければなりません。
また、以下の条件を満たしていなければいけません。
・高温多湿でない
・直射日光があたらない
・塩害地域でない
・寒冷地域でない
・積雪が少ない
・メンテナンススペースを確保できる
住んでいる場所によっては、設置条件面で設置できる蓄電池が限定されてしまいます。
設置条件に合わない蓄電池を設置してしまうと不具合が発生するだけではなく、メーカー保証の対象外となるため修理や交換をする時でも多額の費用がかかるので注意するようにしましょう。
⑦優良な業者を選ぶ
7つ目が、優良な業者を選ぶことです。
悪質な業者に依頼してしまうと、高額な金額で購入してしまったり、施工不良、不具合があった際に対応してもらえないなどのリスクがあります。
優良な業者を選ぶポイントを説明します。
・施工実績が多い
施工実績が多い業者は、経験も豊富なため技術の高い工事を行ってもらえます。
逆に施工に関する説明をしない業者は、適当な工事をする可能性があるので要注意です。
・正しい知識とシミュレーションで、適した蓄電池を選択してくれる
蓄電池は容量や太陽光発電システムとのバランスを考慮しなければいけません。
優良な業者は、正しい知識とシミュレーションで適切な蓄電池を選択してくれます。
・取り扱いメーカーが多い
蓄電池は家庭によって設置できる条件が異なってきます。
取り扱いメーカーが多いと、希望や条件にあった蓄電池を提案してもらえます。
・アフターフォローがしっかりしている
蓄電池は定期的な点検は必要ありませんが、長期で使う製品のため何らかのトラブルが起こる可能性もあります。
アフターフォローをしっかりしてくれる業者から購入すれば、万が一の時も安心です。
蓄電池は製品の選び方が難しく、高額な買い物となるので信頼できる業者から購入したいですよね。
優良な業者を選ぶためには複数社から見積もりをとり、よく比較するようにしましょう。
蓄電池の選び方 まとめ
本記事では、蓄電池の失敗しない選び方を解説しました。
改めて、7つの選び方を確認しましょう。
✅蓄電池の失敗しない7つの選び方
- 設置予定・設置済の太陽光発電システムとのバランス
- 充放電のサイクル数
- 定格出力
- 蓄電池の種類及び性能
- 保証内容
- 設置場所
- 優良な業者を選ぶ
蓄電池は各家庭の使用電力量や太陽光発電システムとのバランスをよく考慮しなければいけない、選択が難しい製品です。
ただ、最適な蓄電池を選ぶことができれば、電気代を節約できたり、災害にも備えることができます。
当社は太陽光業界歴10年以上のプロが、あなたに適切な蓄電池のタイプや容量のアドバイスをいたします。
蓄電池の設置でお悩みの方はぜひ一度、当社までご相談ください。