【徹底解説】パワコン故障の5つの原因と症状、修理及び交換の見極め方
2025.07.06

目次
太陽光発電のパワーコンディショナの故障原因や異常の見分け方、修理や交換のどちらを優先させた方がよいのか知りたくありませんか?
パワーコンディショナは、太陽光発電の心臓部でもあるので故障をすると節電及び売電の機会損失に繋がります。
✅本記事の内容
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パワコンが故障?そもそものパワコンの寿命
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パワコンが故障する主な5つの原因
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これって故障?パワコン異常の見分け方
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パワコンが故障したら修理と交換どちらがお得?
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パワコン故障への備えと迅速な対応が鍵
✅本記事の信頼性
・現役の某太陽電池メーカーの営業マン「スポンジ」が監修(営業キャリア10年以上)
・営業実績は、住宅用太陽光発電200棟/月を販売継続(3年以上)
太陽光発電の寿命を長くするためには、パワーコンディショナの寿命を延ばすことを一番意識する必要があります。
この記事を読んでもらえれば、パワーコンディショナの5つの故障原因や異常の見分け方、万が一壊れたときは修理と交換のどちらを優先させた方がよいのかが理解できるようになります。
パワコンが故障?そもそものパワコンの寿命
太陽光発電システムの中核を担うパワーコンディショナー(パワコン)は、直流電力から交流電力への変換という重要な役割を果たしています。
ただ、その寿命は意外と短く、15年~20年が目安とされています。
これは太陽光パネル(25年~40年)に比べて大幅に短く、多くの方に見落とされがちなポイントです。
メーカーの保証も10年~15年に設定されており、それ以降に不具合が起きた場合は自己負担での修理や交換が必要になります。
発電の停止や売電収入の損失を防ぐためにも、保証期間が切れる前後での点検や交換の検討が重要となります。
定期的な点検を行いながら、寿命に合わせた計画的な対応を心がけましょう。
パワコンが故障する主な5つの原因
パワコンの寿命が来る前に不具合を起こすケースも少なくありません。
ここでは、主に5つの原因を解説します。
- 経年劣化
- 自然災害による損傷
- 設置、配線不備
- 塩害や設置環境による影響
- 製造不良や設計ミス
パワコンの故障は経年劣化に限らず、設置環境や施工ミス、さらには自然災害など多岐にわたります。
日常的なチェックと理解を深めることで、早期発見・早期対応が可能になります。
経年劣化
パワコンは常に稼働し続けることで、内部の電子部品が経年劣化していきます。
特にコンデンサーなどの部品は長時間の発電によって徐々に摩耗し、性能が低下していくのが一般的です。
設置から5年以上経過すると、徐々に発電効率が落ち始め、最終的には機能停止に至ることもあります。
表面的には異常が見られなくても、内部の劣化が進行しているケースもあるため、定期点検を受けることが推奨されます。
寿命に達する前にパフォーマンスの変化を見逃さないことが、長期的な発電の安定につながります。
自然災害による損傷
日本は自然災害の多い国です。
台風や豪雨、落雷などの影響でパワコンが損傷するリスクも高く、実際に大雨で基板に水が侵入したり、飛来物で筐体が破損した例もあります。
特に落雷は、過電圧によって回路を一瞬で破壊することもあり、避雷設備がない家庭ではその被害は深刻です。
こうしたリスクを避けるためには、防水対策や避雷器の導入、そして災害保険の加入と災害後の迅速な点検が欠かせません。
設置・配線不備
パワコンの設置や配線が不適切であると、電気の流れに支障をきたし、思わぬ故障の原因になります。
例えば、配線の接続が甘かったり、取り付けが不十分だと過熱やショートの可能性が高まります。
また、設置場所が直射日光や雨風に晒される環境である場合、機器の劣化が早まる要因にもなります。
設置当初の工事品質が長期的な安定稼働に大きく影響するため、信頼性の高い施工業者を選ぶことがとても重要です。
塩害や設置環境による影響
海沿いや塩害の影響を受ける地域では、塩分を含んだ空気がパワコン内部に入り込み、金属部分が腐食しやすくなります。
また、ほこりや砂が溜まりやすい場所に設置されていると、冷却ファンが目詰まりを起こして温度上昇の原因になります。
高温多湿の環境下での連続運転は、部品の寿命を縮める要因となります。
環境に応じた設置方法や防塵・防塩対応の機器選定が、トラブルを未然に防ぐカギです。
製造不良や設計ミス
まれにですが、製造工程での検査をすり抜けた不良品や、構造上の欠陥を持つパワコンが市場に出回ることがあります。
これらは設置直後から不具合が出るケースもあれば、数年後に突然トラブルが発生することもあります。
特に、頻繁な稼働停止や電源が入らない、異音・異臭といった症状があれば、製品側に問題がある可能性が高いため、保証期間中であれば早急にメーカーへ連絡し、対応を依頼することが大切です。
これって故障?パワコン異常の見分け方
パワコンの異常は、突如発生するものではなく、多くの場合は何らかのサインを伴って現れます。
その兆候に早めに気づき、対処することで、重大なトラブルを未然に防ぐことができます。
たとえば、下記のような場合です。
- 晴天の日でも発電量が極端に下がっている
- パワコン本体から通常とは異なる異音が聞こえる
- 異臭がする
また、エラーコードや警告ランプの点灯、起動しない・頻繁な停止といった現象も要注意です。
これらの異常を見逃さず、できるだけ早く専門業者に相談することが、トラブルの長期化を防ぎ、機器の寿命を延ばすためにも有効です。
特に電気機器の取り扱いには感電のリスクがあるため、自身での分解や修理は避け、必ず専門家に依頼しましょう。
発電量の大幅な低下
晴れている日でも太陽光発電の出力が通常より著しく低下している場合、それはパワコンの不具合が関与している可能性があります。
日射量が十分なにもかかわらず、発電量が明らかに落ちている状態は、パネルではなく変換機能に異常があるサインです。
太陽光発電モニターで日々の発電量をチェックしておくことで、異常に気づきやすくなります。
天候が安定している期間に発電が不安定になった場合は、早急に点検を依頼することが重要です。
定期的な記録を残しておくことで、異常発見の助けにもなります。
異音が聞こえる
パワコンは発電中にファンなどが作動するため、ある程度の作動音はしますが、明らかに異常な音がする場合は注意が必要です。
特に「ブーン」という大きな連続音や断続的な金属音は、内部ファンの異常や部品の摩耗、あるいは冷却機能の低下を示唆している可能性があります。
放置しているとパワコン内部の温度上昇を招き、さらなる故障の原因になります。
普段から動作音を意識し、いつもと違う音が聞こえた場合は、早めに専門業者へ相談しましょう。
エラーコード/警告ランプが点灯
屋内用パワコンには多くの場合、エラーコードや警告ランプが設けられており、異常があればすぐに点灯や表示で知らせてくれます。
特に普段と違うランプの点灯や、見慣れない数字や記号が表示されている場合、それは何らかのトラブルを示しています。
屋外用パワコンの場合は、表示窓がないこともありますが、一括制御リモコンを使えばエラーコードを確認することができます。
マニュアルやメーカーのサイトでコードの意味を確認し、必要に応じてサポートへ連絡しましょう。
パワコンから異臭や発煙・異常な発熱
パワコンから異臭がしたり、煙が出たり、表面が熱くなっている場合は非常に危険な兆候です。
これは内部で回路がショートしていたり、部品が過熱している可能性があり、重大なトラブルの前兆といえます。
万が一このような症状が出た場合は、絶対に自分で対処しようとせず、すぐに発電システムの運転を停止し、専門業者に連絡してください。
火災のリスクや感電の危険があるため、速やかな対応が必要です。普段から焦げたような臭いなどには敏感になっておくと良いでしょう。
起動しない、頻繁な稼働停止
パワコンが起動しない、あるいは一度動いても頻繁に止まってしまうといった現象は、内部の回路や電源供給系統に異常があることを示しています。
電源が入っているのに画面が真っ暗だったり、突然リセットされるような動作が見られる場合は要注意です。
こうした症状が出たときには、パワコン本体だけでなく、接続されているケーブルやブレーカーの状態もチェックする必要があります。
原因の特定が難しいため、無理に操作せず、すぐに専門業者に連絡して診断を受けましょう。
パワコンが故障したら修理と交換どちらがお得?
パワコンのトラブルが発生した際、多くの方が悩むのが「修理」と「交換」の選択です。
結論から言えば、設置からの年数と保証の有無が判断基準になります。
5年以内であれば保証の範囲で修理が可能なケースが多く、費用を抑えて復旧できます。
一方、8~10年以上が経過している場合は、機器の劣化や故障リスクの増加から交換を検討するのが合理的です。
新しいパワコンは効率や機能性が向上しており、再保証も付帯します。
電気代高騰や法改正にも対応できる新型パワコンの導入は、将来の安心にもつながります。
パワコンの修理がおすすめのケース
設置から5年以内であれば、まずは修理を検討しましょう。
特にメーカー保証が残っている場合、製品不良が原因であれば無償修理が可能で、部品代や出張費もカバーされるケースが多くあります。
保証期間内の対応は迅速かつコストを抑えられるため、販売店やメーカーに早めに相談することが重要です。
また、エラーコードや発生時の状況を記録しておくことで、対応がスムーズに進みます。
修理後も安心して使い続けるには、定期点検も欠かせません。
パワコンの交換がおすすめのケース
パワコンを設置してから8~10年以上が経過している場合は、思い切って交換を検討するのが現実的です。
新型パワコンは変換効率や通信機能が大幅に進化しており、発電効率の向上や操作性の改善が見込めます。
さらに、保証期間も再設定され、次のトラブルに備える安心材料にもなります。
最近では、太陽光と蓄電池を一体化させたハイブリッド型や、発電量を最適化するリパワリングといった高性能タイプも登場しており、選択肢が広がっています。
自治体による補助金を活用すれば、導入コストも抑えることが可能です。
パワコン故障への備えと迅速な対応が鍵
太陽光発電システムの要とも言えるパワコンが故障した場合、迅速な対応が求められます。
まずは設置からの年数を確認し、10~15年の保証期間内であれば、販売元やメーカーに連絡して現地確認を依頼するのが重要です。
この際、機器側の不具合でなければ出張費が発生する可能性があるため、訪問は最終手段と考えるべきです。
特に設置後10年を超えている場合や保証切れの場合は、単なる修理よりも交換や蓄電池・リパワリングといった最新のシステム導入を視野に入れることをオススメします。
太陽光パネルの寿命が30~40年あることを踏まえると、パワコンの更新は避けられない選択です。
パワーコンディショナの故障リスクを減らし、ベストなタイミングで新しいパワーコンディショナに交換できれば、30年~40年もの間で太陽光発電の恩恵(節電や売電)が得られます。